「JAMPの視線」No.306(2025年11月9日配信)
JAMP 大原啓一の視点 2025年11月2日
先週の本コーナーで話題にさせて頂いた小学校5年生の長男のパフォーマンス大会での口笛パフォーマンスですが、案ずるより産むがやすし?なのか、無事に乗り切ったようです。心配で観覧しに行った妻によると、「次は5年●組の大原君による口笛です」とアナウンスがあった時には異様なざわめきが起きたものの、最終的には多くの拍手を頂くことができたとのことでした。本人は今回の「成功」で自信がついたのか、「来年はピアノの演奏で出場する」とのたまっていますが、ピアノなんて習ったことないですよね?我が子ながらその図太さには驚きが止まりませんが、そのままの方向性でたくましく大きくなってもらいたいと思います。
コンプライアンス業務の外部委託と外部支援
さて、弊社コンプライアンスチームが毎月発行している「JAMPコンプラ・メルマガ」は資産運用業界内でも好評をいただいていますが、身内のことを褒めるのは恐縮しつつ、先週公表された「コンプライアンス業務の『外部委託』と『外部支援』について」も長期保存版の神回だったように感じています。
ご案内の通り、今年5月に施行された改正金融商品取引法で「投資運用関係業務受託業」が新設されました。「投資運用関係業務受託業」とは、資産運用会社(投資運用業者)がその事業運営における計理及びコンプライアンスに係る業務(ミドル・バックオフィス業務)を外部に委託することで、投資運用業への登録要件(人的要件)を緩和するというものであり、我が国の資産運用業界におけるコンプライアンス等の専門業務経験者数が少ないという問題があるなか、資産運用事業への新規参入の活性化や事業運営の効率化・安定化に寄与することが期待されています。
一方、既に自社内にコンプライアンス担当者を設置している投資運用業者が、コンプライアンス機能の更なる強化を図るために、外部の専門家等からコンプライアンス業務に対する「外部支援」を受けるということは以前から行われていました。コンプライアンス担当者は社内に存在するものの、例えば、登録申請時点には想定していなかった未経験の新たな業(投資一任、投資信託、投資法人、ファンド運用など)に参入する場合に、外部支援を利用することにより、コンプライアンス面での懸念を極小化することが可能となる等のメリットがあります。
今回の「JAMPコンプラ・メルマガ」では、コンプライアンス業務の外部委託と外部支援のそれぞれのメリット・デメリットを整理しつつ、利用する際の留意点等もご紹介させて頂いていますので、ご参考にして頂ければ幸いです。
コンプライアンス業務の外部委託が広がらない背景
「投資運用関係業務受託業」制度に基づくコンプライアンス業務の外部委託については、特に新興や中小規模の投資運用業者による利用ニーズは多いと思われるものの、同制度に業登録する事業者の数やその事例は事前に予想されたほどには積みあがっていないように見受けられます。直近の金融庁HPでの開示を見ると、制度がスタートして約半年が経過する現時点においても、業登録をしている事業者は1社のみとなっています。このような状況にとどまっているのは、コンプライアンス業務を受託できる事業者の候補が本来的に少ないと思われることに加え、その責任・負担の重さやそれゆえに比較的高額とならざるを得ないプライシングに対する利用者の期待値とのギャップが背景にあるように感じています。
具体的な例としては、本受託業に関する監督指針において「投資運用関係業務は、委託する業者における投資運用業の質を左右し得る一定の継続性・能動性を有するもの」と定義をされていますが、コンプライアンス業務を受託する事業者が委託元の投資運用業者の第2線として能動的に機能することは現実的には容易ではありません。仮に社内のコンプライアンス責任者・担当者であったとしても、会社経営や事業の機密情報等は開示されないケースがある等、能動的に機能することが難しいのが現実であるところ、強制力を伴う調査権原を持たない外部の受託事業者がそのような期待される役割を十分に果たすのはより一層に難しいのは言うまでもないでしょう。そもそも、投資運用業者に対する監督指針においては、このような「能動」という表現は用いられておらず、社内のコンプライアンス責任者に対して求めていないような困難なことを、社外の受託事業者に対しては求めるようなダブルスタンダードになっているようにも思われます。この点は投資運用関係業務受託業に関する弊社内での議論においてもしばしば疑問が呈されるところです。
とはいえ、現行の監督指針でそのような「能動的な機能」が求められているのであれば、その実現を担保するよう全力を尽くさなければなりません。ただ、そのためには受託事業者側で十分な数のコンプライアンス専門人材を確保することはもちろん、業務運営体制を堅牢に整備する等の万全の対応をとる必要があり、それは最終的にはコンプライアンスの外部委託をする際の報酬水準に反映されることになります。以前のメールマガジン(2025年8月10日発行の「JAMPの視線 No.294」)でも取り上げましたが、この報酬水準の設定については、どのような付加価値を期待するかということも含め、利用する投資運用業者と受託事業者の考えにギャップがあることが少なくなく、それが投資運用関係業務受託業に登録する事業者の数や利用事例が順調に積みあがってこないひとつの要因になっているように思われます。
いずれにせよ投資運用関係業務受託業という新設の制度はまだ始まったばかりであり、上述の「能動性」の取り扱いを含め、その制度の使い勝手の良さや必要性、有用性もこれからどんどんこなれたものにする努力が業界全体として必要だと考えています。弊社・日本資産運用基盤もそのような業界全体の取り組みに貢献できるよう今後も微力をつくしてまいります。
JAMPメンバーの採用情報
日本資産運用基盤グループでは、事業拡大に伴い一緒に働くメンバーを募集しています。
弊社にご興味のある方、ぜひ働きたいという方はこちらからお申し込みください。
まずはお話だけでも、という方も大歓迎です!
代表の大原とのカジュアル面談でもいいかな、という方ももっとウェルカムです!!
News Picks ダイジェスト
代表取締役 大原啓一 のコメント
【日経平均、大幅反発 上げ幅1000円超、一時5万1000円台に】
大原のコメント→
高市総理就任後の株式相場はボラティリティが激しいですが、基本的には堅調というか、絶好調ですね。
弊社・日本資産運用基盤は証券会社や地域銀行等の金融機関の事業モデル転換、具体的には従来型証券・資産運用事業モデルから、ゴールベースアプローチの考え方に基づく資産運用アドバイス事業モデルへの転換をお手伝いしていますが、このような株式相場だと、経営陣が事業モデル転換の方針を示していたとしても、現場の営業員が浮足立ってしまうことは避けられないように思います。
ただ、一時的に株式売買委託手数料で稼ぐ従来型事業モデルが再び機能したとしても、長期的には事業モデル転換の必要性は変わらず、このような状況だからこそ証券会社等の経営陣の覚悟が重要になると考えています。
https://newspicks.com/user/121187/?ref=user_121187&sidepeek=news_15419464
主任研究員 長澤 敏夫 のコメント
【信金、保険販売抑え預金注力 業績評価の変更も】
長澤のコメント→
「金利ある世界」で本業回帰として預かり資産業務へのリソースを見直し預金獲得に注力する動きがあることは最近よく耳にしますが、記事にあるような、顧客が「貯蓄から投資」への意識変化を起こしているのであれば、それに応えられる付加価値の提供ができなければ、預金も預かり資産も流出してしまうのではないかと個人的には懸念しています。
https://newspicks.com/user/6551307/?ref=user_6551307&sidepeek=news_15429162
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