
第59回「金融商品取引業者における法人関係情報の管理について」
「日本資産運用基盤株式会社」を親会社に持つ「JAMPフィナンシャル・ソリューションズ株式会社」は、金融商品取引業者様及びその登録を目指しておられる方々向けに、当局の動向などをまとめた「JAMPコンプラ・メルマガ」を発信しています。
今回は、金融商品取引業者等に対して、その適切な管理が義務付けられている「法人関係情報」の管理について、ポイント等を説明いたします。
なお、今般の金商法改正の大きな目的の一つが「企業と投資家の建設的な対話の促進」であることや、その施策の1つとして、大量保有報告制度が改正されたことなどから、法人関係情報を取得する機会が相応に増加すると思われます。金商業者におかれては、現状の管理態勢等が企図したとおりに機能しているかどうかの確認等を行う際の一助になれば幸いです。
1.法人関係情報規制とインサイダー取引規制

このように、二つは全く異なる規制ですが、金商業者はこの双方を遵守する義務があります。
2.法人関係情報とインサイダー情報

このように、インサイダー取引規制の対象である「重要事実」と「公開買付情報」は、おおむね法人関係情報規制の対象である「法人関係情報」の一部となっています。
3.法人関係情報管理の規制の枠組み

このように、最終的には自らが制定する社内規程が、法令等・監督指針・協会規則等の趣旨及び内容を適切・正確に反映していることが重要です。
なお、投資顧問業協会のルールでは「会員は、法人関係情報又はそれに該当するおそれのある情報を知り得る可能性のある者に対し、当該情報を提供するよう働きかけをしてはならない」旨が定められており、法人関係情報管理規程などにも同様の内容が規定されていると思われます。
4.法人関係情報に該当するか否かの判断において特に注意すべきもの

仮に、これらの重要事実がインサイダー取引規制上の軽微基準に該当したとしても、法人関係情報規制上の「投資判断に影響を及ぼす未公表の重要な情報」に該当しうることに十分留意し、保守的な対応が望まれます。
5.法人関係情報か否かの判断のための1つの視点
企業から取得した情報が、法人関係情報に該当するかどうかを判断する上で、参考となる考え方の例を以下に紹介します。
(1)取得情報が、特段の分析を行わなくても、他の投資家が「売り」又は「買い」に関して同じ投資判断に至るような、影響の大きい情報かどうか?
(2)取得情報が、スチュワードシップ・コード(Stewardship Code)の要請である「戦略、業績、リスク等の十分な把握」と「中長期的成長を促す建設的対話」などの目的を超えた、より重要な情報かどうか?
なお、実際の判断は法令等に基づいて行い、必要に応じて弁護士等の専門家にご相談ください。
当社は、国際金融都市を目指している東京都に協力して、金融商品取引業に関する登録申請手続き及び金融商品取引業者等の内部管理体制強化等に関する国内外の方々のご相談に対応させていただいております。初回の無料相談等につきましても、遠慮なく当社までお問合せください。