
第58回「非上場有価証券特例仲介業制度についての考察」
「日本資産運用基盤株式会社」を親会社に持つ「JAMPフィナンシャル・ソリューションズ株式会社」は、金融商品取引業者様及びその登録を目指しておられる方々向けに当局の動向などをまとめ、発信しています。
今回は、第44回「金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律」の概要について(シリーズ第3回)でご紹介した「非上場有価証券の仲介業務の参入要件緩和」について、もう少し別角度からみていきたいと思います。
第44回では、
1.非上場株式に関する現状と課題
(1)非上場株式の取引を行う場がないため、保有者の換金ニーズや投資家の投資ニーズに応えられていない。
(2)このため、日本では、時価総額が小さいまま上場(小粒上場)することも多い。その場合、機関投資家の投資対象とならず、機関投資家によるスチュワードシップ活動の対象ともならないため、上場後の成長が停滞する原因となっているとの指摘もある。
2.非上場有価証券の流通活性化
非上場有価証券の仲介業務の参入要件を緩和し、非上場有価証券の流通を活性化
【改正事項】
A:非上場有価証券の仲介業者の登録要件緩和
①プロ投資家(特定投資家)を対象として、非上場有価証券の仲介業務に特化し、原則として有価証券や金銭の預託を受けない場合には、第一種金融商品取引業の登録要件等を緩和(資本金要件の引下げ(5000万円→1000万円)、自己資本規制比率等)
と、説明させていただきました。
改めてこの制度についてみてみますと、金融商品取引法第二十九条の四の四において「非上場有価証券特例仲介等業者」と称されていることに多少違和感を覚えます。すなわち「特例仲介等業」があたかも「金融商品仲介業」の特例として、所属証券会社の下で非上場有価証券を特定投資家に仲介する業務であるかのように思わせるからです。金融庁のサイトを探しても、まだ改正版の金融商品取引法の英語訳が見当たりませんが、某法律事務所が発行した英文News Letterにおいて、この非上場有価証券特例仲介業を”Simplified Type 1 license”という表現を用いて説明しています。これを直訳すると「単純化された第一種業」となり、この業務の内容をより直感的に理解できるように思います。
上述の説明の通り、登録要件が緩和された第一種業の一形態であるので、もちろん所属証券会社の傘下にある必要もなく、それでいて第一種業者の重荷となっている自己資本規制比率なども対象外ということです。
一般の第一種業者と同様に、日本証券業協会に参加する必要はありますが、一般と比して安価な入会金・年会費の負担で済むと伺っております。
また、非上場株式の取引活性化のためという大前提はあるものの、海外の有価証券(国内で上場していない)を特定投資家向けに勧誘できるという枠組みとなっています。
そのため、外資系を中心に投資運用業者や投資助言業者の中には、この制度の利用について注目している会社が多くあると伺っております。
もし、「運用戦略・助言戦略の紹介」などとして間接的に関連会社の運用商品の説明等を行われている場合には、この制度について是非ご検討いただきたいと思います。
当社は、国際金融都市を目指している東京都に協力して、金融商品取引業に関する登録申請手続き及び金融商品取引業者等の内部管理体制強化等に関する国内外の方々のご相談に対応させていただいております。初回の無料相談等につきましても、遠慮なく当社までお問合せ下さい。
以上