
「JAMPの視線」No.286(2025年6月22日配信)
次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】
目次
①JAMP 大原啓一の視点
②JAMPメンバーの採用情報
③NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
④お知らせ・ニュースリリース
⑤メディア掲載情報
⑥インフォメーション
JAMP 大原啓一の視点 2025年6月22日
今週末は小学校5年生の長男が野球チームの合宿だったので、普段は長男の予定を優先されることが多い5歳の次男がずっと行きたがっていた品川の水族館に行ってきました。水族館というともっぱら自宅の近所の池袋サンシャインの水族館ばかり行っているのですが、たまに新しいところに足を延ばすと新鮮ですね。イルカのショーは大人でも声を出して驚くくらいの楽しさで、家族3人とも大興奮でした(サンシャイン水族館はイルカのショーがないのです)。混雑ぶりには閉口しましたが、「マクセルアクアパーク品川」はおススメです。
さて、ここ最近のメルマガは日本版ファンドマネジメントカンパニーを活用したETFホワイトレーベルサービスについてのものが連続していて恐縮ですが、今回もまた日本版ファンドマネジメントカンパニー及びETFホワイトレーベルサービスについて補足説明をさせて頂ければと存じます。
日本版ファンドマネジメントカンパニーは、「アセットマネジメント」と「ファンドマネジメント」を構造的に分離し、資産運用会社が高付加価値業務である「アセットマネジメント」に専念できるような仕組みを構築することで資産運用業界の効率性・生産性を向上させるべきだということを弊社・日本資産運用基盤も以前より提言し、それが昨年5月の金融商品取引法改正として結実したものです(もちろん日本資産運用基盤のみが提言したものではなく、関係各所の皆さまのご尽力で実現したものですので、弊社がことさらに手柄を誇るべきものではないことは言うまでもありません)。
この点、金融商品取引法の改正、より具体的には「投資信託等の投資運用権限の全部委託の解禁」については、従来の金融商品取引法においても投資信託の「サブアド」や「ハコ貸し」と呼ばれる投信事業運営は許容されており、日本版ファンドマネジメントカンパニーの重要性は理解するものの、別に金融商品取引法の改正までは必要なかったのではないかとのご意見を耳にすることが少なくありません。
確かに、従来より海外資産運用会社が「アセットマネジメント」を担い、日系資産運用会社が「ファンドマネジメント」を担う形での事業運営(これを「サブアド」や「ハコ貸し」と呼称することが資産運用業界では一般的です)は広く普及していましたし、弊社の日本版ファンドマネジメントカンパニーの第1号案件である九州みらいインベストメンツ様との私募投信案件も金商法改正前に稼働開始したものであり、その意味では必ずしも昨年5月の金融商品取引法の改正は必要ではなかったと整理することも可能かもしれません。
ただ、先週の本メールマガジンでも申し上げましたが、これからの日本の資産運用業界で必要なのは、従来の「サブアド」「ハコ貸し」形式での日本版ファンドマネジメントカンパニーの活用のみではなく、これまで存在しなかったような次世代ユースケースの広がりだと私たちは考えています。その新たなユースケースのひとつがETFホワイトレーベルサービスであり、それ以外にもPEIT(未公開株証券投資法人)ホワイトレーベルやIFAオリジナルブランド投信の開発、既存投信委託会社の効率化・高度化ご支援等の広がりも展望されます。
今回のETFホワイトレーベルサービスの立ち上げにあたっては、改正金融商品取引法が先月(2025年5月)に施行されたことを受け、東京証券取引所で有価証券上場規程や「ETF上場の手引き」、「ベンチャーファンド(投資証券)上場の手引き」等の諸規程も改正され、上場審査や運営に係る手続きが日本版ファンドマネジメントカンパニーを受け入れる形で整理されています。こうした動きは昨年の金融商品取引法の改正が行われなければ、実現しなかったものです。このような次世代ユースケースを許容するような動きが業界内で正式に広がりつつあることに、金商法改正の意義があります。その意味で「別に金融商品取引法の改正までは必要なかったのではないか」とのご意見はあたらないものと考えます。
弊社・日本資産運用基盤は、改正金融商品取引法やそれに基づく東京証券取引所の新しい上場関連諸規程等の枠組み整備等の動きと連携させて頂きつつ、日本版ファンドマネジメントカンパニーの次世代ユースケースの推進を通じ、日本の資産運用業界の効率化・高度化に貢献してまいります。引き続きご支援を頂きますようお願いいたします。
News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)
【個人資産運用の新会社設立 三井住友FGとSBIHD】
大原のコメント→
今後の個人向け資産運用サービスで重要になるのはアフターフォロー等の「資産運用アドバイス付加価値」の提供であることは間違いなく、今回の三井住友FGとSBIHDの取組みの方向性には共感します。
一方、そのスキームとして投資助言はサービスという意味でも顧客訴求力が弱く、ビジネスという意味でも展開可能性が限定されており、両社の取組みが本記事が伝えるように本当に投資助言スキームを選択するば、その判断については個人的に悲観的に考えています。
米国で資産運用アドバイスの主な担い手として活動するRIA(Registered Investment Adviser)は日本語では「投資顧問業者」と訳され、投資助言スキームを活用しているかのような誤解が少なからずあるように感じていますが、実際には預かり残高ベースで90%以上は投資一任スキームを活用しています。
日本でも資産運用アドバイスがサービスとしても、ビジネスとしても広がっていくことが予想されるなか、そこで主流になるスキームは投資一任スキームであるというのが個人的な考えです(但し、従来型ラップとは提供付加価値も新たにする必要があるとは考えています)。
News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)
【毎月分配型投信に再注目 「取り崩し」機能、誤解は禁物】
長澤のコメント→
基本的には同じ運用(同じマザーファンド)であれば分配頻度の違い、例えば年1回と毎月分配で信託報酬率の違いはなく、毎月分配型にはアクティブ運用が多いので平均すると信託報酬率が高いということになるのだと思います。
確かに以前金融庁が問題視していたころは、分配金競争の様相を呈しており、毎月の分配金を捻出するため、通貨選択型などの複雑な商品を販売していたことから、信託報酬率が高くなっていたことはあったと思います。ただ記事にあるように「全体では健全になってきた」と思われ、適切なプロダクトガバナンスの下、毎月分配型をNISAの対象とすることは、多様な資産運用ニーズに応えるという意味でよろしいのではないかと思っています。
【【実像】保険会社の出向者引き揚げ、地域銀で窓販縮小の動きも】
長澤のコメント→
先日も保険関連の公表資料を出向者に任せていたので、作成に苦慮している金融機関があるとの記事が出ていました。「銀行の保険窓販が全面解禁された2007年12月から約17年たつが、いまだに保険関連の中核業務を出向者に依存している銀行もあり、その穴をどう埋めるかが喫緊の課題」とありますが、メガバンクから地域金融機関まで全ての金融機関が横並びで保険を扱う必要もないと思われます。人的リソースが限られる中、地域に密着した強固な顧客基盤といった強みを活かしたビジネスモデルへの変革こそ喫緊の課題なのではないかと思われます。