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「JAMPの視線」No.285(2025年6月15日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】


 目次
①JAMP 大原啓一の視点
②JAMPメンバーの採用情報
③NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
④お知らせ・ニュースリリース
⑤メディア掲載情報
⑥インフォメーション


JAMP 大原啓一の視点 2025年6月15日


 6月6日(金)に弊社と東京証券取引所が連携して公表したETFホワイトレーベルサービスの提供に関するプレスリリースについて、お蔭さまで多くの反響を頂いています。東京証券取引所の方にも海外資産運用会社からの日本進出のお問い合わせを頂いておりますし、弊社側にも海外資産運用会社や日本の独立系資産運用会社などから面談のご依頼を多く頂いています。私たち日本資産運用基盤にとっても東京証券取引所にとっても新しい取り組みですので丁寧に準備が必要であるものの、早期に第1号案件を実現できるよう頑張りたいと思います。

 ちなみに今回のETFホワイトレーベルサービスについては、「ゴールベース型ラップサービスの支援や日本版ファンドマネジメントカンパニーサービスの提供とか色々な事業をどんどんやっているんですね」という反応を頂くことが少なくないのですが、そのご理解は正確ではありません。資産運用業界のインフラとして様々な取り組みを手広く手掛けているというご認識を頂けるのは大変ありがたいことではあるのですが、ともするとひとつひとつの「基盤」事業/サービスを丁寧に運営できないのではないかというご懸念にもつながりかねませんので、正確なところを補足説明させて頂きたいと思います。

 弊社は資産運用事業を営む資産運用会社などの金融機関に対して、主に「ゴールベース型資産運用ビジネス支援サービス(GBASs(ジーバス))」と日本版ファンドマネジメントカンパニーを活用した「投信ビジネス支援サービス」の2つを提供していますが、今回のETFホワイトレーベルサービスはこの後者の「投信ビジネス支援サービス」のユースケースのひとつという位置づけになります。「投信ビジネス支援サービス」は、日本版ファンドマネジメントカンパニーとして弊社が投信委託の機能をサービスとして資産運用会社に提供することにより、当該資産運用会社は自ら投信委託業のライセンス登録をしたり、必要な専門人材部隊や設備などを自前で保持したりという負担なく、投信ビジネスに参入し、営むことができるというものですが、その対象を投資信託だけではなく、ETF(上場投信)にまで広げるというものです。昨年5月の金融商品取引法の改正を受け、投資信託の運用権限の全部委託が認められるようになったことを受け、東京証券取引所がETFの上場基準を改正し、実現したのが今回のETFホワイトレーベルサービスなのです。

 日本資産運用基盤が資産運用会社の投信ビジネスをご支援するために日本版ファンドマネジメントカンパニーとしての機能提供を開始し始めたとき、業界関係者からは「既に日系運用会社が『サブアド』や『ハコ貸し』で似たようなことをやっているのに今さら何をやるつもりなの?」と懐疑的なご意見を多く頂きました。ただ、私たちはそのような従来からある機能提供を真似してやろうというつもりはもとよりありませんでした。「サブアド」や「ハコ貸し」などを否定するわけではなく、既に業界の「基盤」として存在するのであれば、日本資産運用基盤が同じことをやる必要はない。私たちは日本の資産運用業界にない「基盤」機能を提供し、資産運用業界の効率性・生産性の向上をする。それが日本資産運用基盤のミッションであるというのが私たちの考えです。

 日本版ファンドマネジメントカンパニーが金融商品取引法上で明確に整理されたことを受け、今回の東京証券取引所のETF上場基準の改正のように様々な動きが続き、これまでにない日本版ファンドマネジメントカンパニーのユースケースが今後も多く生まれることを予想しています。ETFホワイトレーベルサービスに加え、PEIT(未公開株証券投資法人)やREIT(不動産投資法人)への活用もあるでしょうし、既存の投信委託会社の事業効率化・高度化の手段として用いられることも考えられます。

 ETFホワイトレーベルを始めとするこれらの新しい日本版ファンドマネジメントカンパニーのユースケースについては、東京証券取引所や弊社パートナーである三菱UFJ信託銀行などの関係各所とも連携しつつ、丁寧かつ大胆にどんどん実現を目指したいと思います。資産運用業界の関係者の皆さまからのフィードバックも頂きつつより良い「基盤」を構築し、提供していきたく、今後ともご指導をいただきますようお願いいたします。



News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)


【なぜ「運用の裏方ビジネス」が注目される? 新制度“投資運用関係業務受託業”の正体】
大原のコメント→
 資産運用事業領域での競争激化等によって利益率が大きく低下しているなか、事業構造の改革によって事業効率性・生産性の向上は業界全体にとって急務です。
 ただ、本記事で紹介されている資産運用事業のミドルバックオフィス業務の外部委託のみでは不十分であり、「ファンドマネジメント業務」を丸ごと役割分担するファンドマネジメントカンパニーの活用により、自らは「アセットマネジメント業務」に特化するようなより抜本的な事業構造の改革が必要というのが、私たち日本資産運用基盤の考えです。



News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)


【地域銀・信金、NISA口座伸び悩む 3カ月の増加率1%】
長澤のコメント→
 今回、記事にコメントを掲載いただきました。(下記のカッコ内部分)
 金利のある世界となり預金獲得に動く中、資産運用ビジネスの優先順位を下げている金融機関がある中、個人預金の粘着性を勘案すれば「営業の人員を割いて預金を増やしても、高金利を提示するネット銀行などに移されやすい」とも思われ、「NISAには1人1機関の制限があり、顧客と長期の関係性を深められる。預金獲得のためにも、NISAにもっと力を入れても良いのではないか」と考えております。
 先日も書きましたが、25年3月末のNISA口座数は2646万口座となり、資産運用に興味を持ち、能動的に動く人の口座開設は一巡したと思われます。更なる資産運用の裾野の拡がりには、特に対面取引を得意とする地域金融機関においては、資産運用アドバイスなどにより背中を押す必要があり、こうしたコミュニケーションを通じて顧客の信頼を得ることで、結局は預金増加にもつながるのではないかと考えております。