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「JAMPの視線」No.279(2025年5月4日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】


 目次
①JAMP 大原啓一の視点
②JAMPメンバーの採用情報
③NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
④メディア掲載情報
⑤インフォメーション



JAMP 大原啓一の視点 2025年5月4日


 最近は色々な地域銀行の皆さまとお話させて頂くための出張であちこち飛び回っていますが、プライベートでもいよいよ来週末に迫った引っ越しに向けて忙しくなってきました。実は新居は現在住んでいるところから150メートルほどしか離れていないすぐ近所なのですが、引っ越しは引っ越しなので手間が軽くなるなんてことは全然ありません。10年も住んでいると生活インフラの契約がどうなっているのかの把握なども容易ではありません・・・。来週末のメルマガが届かなかったら、「引っ越しが大変なんだな」と優しく許してください(冗談です、頑張ります)。

 さて、私たち日本資産運用基盤では、この大型連休の合間の先週水曜日と木曜日の2日間にわたり、購買心理学に基づく営業理論の構築や営業セミナー、営業員研修等で著名な加賀田裕之氏をお招きし、ゴールベース型資産運用ビジネス支援サービス「GBASs」に携わっているメンバーや役員が地銀等のアドバイザー向け研修プログラム開発のための勉強会を行ないました。

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 先月末のジャパンインベストメントアドバイザーとの業務提携基本契約の締結に関するプレスリリースの後のメールマガジンでもお話させて頂きましたが、日本資産運用基盤は、ゴールベース型資産運用サービスがこれから更に日本人の「将来に備える」ニーズに対応するサービスとして普及・定着していくために、地域銀行等のアドバイザー金融機関に対して研修プログラムの開発・提供を含む営業支援サービスを直接に提供させて頂くことを考えています。今回の2日間にわたる勉強会もその研修プログラムの開発の取組みの一環です。

 お蔭さまでゴールベース型資産運用サービスは少しずつ地域銀行等のアドバイザー金融機関での取り扱いが広がっていますが、これまでの商品ありきの投資信託等の販売とはまったく異なるサービスであるため、現場の営業員の方々の最初の戸惑いも小さくなく、スムーズにお客様に提案できるようになるまでの時間もかかってしまっているように見受けられます。もちろん、ゴールベース型資産運用サービスに対するお客様の感謝のお声が成功体験として蓄積されるにつれ、営業員の皆さまの習熟度も高まっていくということは、様々なアドバイザー金融機関の実績を通じて確認されています。とはいえ、この転換に時間がかかっていては、ゴールベース型資産運用サービスに対する経営や現場のモチベーションを高く保つことが難しくなりますし、ゴールベース型資産運用サービスの本質からずれた商品売り的な提案スタイルが変に混じったままで定着するリスクも懸念されます。従って、この転換をスムーズに進めるための研修プログラムの開発・提供等のソフト面での営業支援サービスの必要性は、私たちが以前からずっと持っている問題意識です。

 加賀田裕之氏が組み立てた購買心理学に基づく営業理論は、商品・サービスの説明をする前に、まず最初にお客様との間に「医者と患者」のような専門家として目指すべき人間関係の構築を行なったうえで、お客様のニーズの深掘りと目指すべき理想を一緒に描くというプロセスを重視するものであり、まさに私たち日本資産運用基盤が目指しているゴールベース型資産運用サービスの提案との親和性が高いと感じています(実際、生命保険のアドバイザーの方々が受講されていることが多いとお聞きしました)。

 お客様の将来に備えるためのマネープランを策定し、その実現に向けた伴走を行なうためには、適切な関係性の構築やニーズの深掘り等は欠かせず、これらが存在しない提案は結局のところこれまでの商品売りもしくはおねだり営業に戻ってしまうことに他なりません。適切なプロセスを踏まえた提案(営業)は、お客様の満足度のみならず、成約率の向上などのビジネス上の成果にも直結するものです。せっかく最適な仕組みやツールを備えた良いサービスを導入したとしても、取り扱う営業員の皆さまがそれを使いこなせなければ、アドバイザー金融機関が思い描く理想の預かり資産ビジネスも絵にかいた餅になってしまいます。

 私たちの研修プログラムの開発プロジェクトはまだ着手したばかりであり、具体的にご披露できるのはもう少しだけお時間をいただければ幸いです。アドバイザー金融機関の現場の営業員の方々にお客様に寄り添うような素晴らしいサービスとして提供していただくともに、地域銀行等のアドバイザー金融機関が理想の預かり資産ビジネスを実現していただくためにも、しっかりと内容の充実したプログラムを開発したいと考えています。ご期待ください。



News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)


【十八親和銀、投信客への架電デスク新設 7万先にアプローチ】
大原のコメント→
 中国銀行も今月頭から「資産運用サポートデスク」という非対面での資産運用営業チャネルを新設し、ハイブリッド体制に移行しましたが、本記事の十八親和銀行の取組みも同様の方向性のものと整理できます。
 長期の資産運用(資産形成+資産活用)のニーズの高まりから地域銀行の資産運用事業の可能性は高まっているものの、従事する営業担当行員の減少や顧客接触の困難、小口化やシステム対応コスト等による生産性向上の必要性等もあり、今後はこのようなハイブリッドチャネル化が地域金融機関の間でも広まっていくと思われます。
 ただ、単純な非対面チャネルの併設ではオンライン証券等との差別化は困難であり、地域銀行ならではのハイブリットチャネルの付加価値をどのように創造するかが重要な課題になります。

【金融庁四半世紀(下)民間人材登用は道半ば 官民キャリア往復少なく、「回転扉」の充実が課題に】
大原のコメント→
 私自身も将来的にどこかのタイミングで金融庁という舞台で日本の金融行政に自分の知見・経験等を役立てたいという想いを持っていますが、そのように考える金融業界関係者は多いと思われ、今後はさらに「回転扉」の回転が活発になることが期待されます。
 一方、とはいえ、他の業界と比べても平均的に給与水準が高いと思われる金融業界の専門人材を採用するためには、金融庁職員の処遇も柔軟に調整する必要があると思われますし、「回転扉」を経験することによるキャリア展開の幅の広がりなどの事例蓄積等も重要になってくると思われます。




News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)


【金融庁四半世紀(下)民間人材登用は道半ば 官民キャリア往復少なく、「回転扉」の充実が課題に】
長澤のコメント→
 金融庁には、「金融実務経験者」の枠で採用頂き、2011年から10年在籍いたしました。プロパー職員の他、弁護士、公認会計士、不動産鑑定士等の士業の方、銀行、証券会社、保険会社等出身の方と机を並べて仕事が出来たのは非常に有益であり学ぶことも多かったと思っております。
 プロパー職員の方は行政、法律などのプロではありますが、金融商品の組成・販売等を含む金融ビジネスの現場の経験は基本無いので、それぞれの持つ知識・経験を共有することで相互補完が機能していたのではないかと思われます。
 また、民間から当局に移って感じたのは、一つの金融機関に所属していた時には分からない業界全体の状況が見えてくることで、何がその時点のベストプラクティスなのかがわかるなど、視野が広がることかと思いました。記事にあるように官民の行き来が今以上に進めば、行政・民間の相互理解とともにレベルアップにもつながると思われます。

【三菱UFJモルガン・スタンレー証券、「債券リパ融資」撤退 地銀の情報開示に難点】
長澤のコメント→
 一般に地方銀行等が「仕組み融資」をする目的は、日本国債や社債を保有したいのではなく、これらはあくまで融資の担保に相当するものであり、担保が日本国債であれば信用リスクはないとみなされます。そして融資の利息は通常の固定金利や変動金利ではなく、デリバティブを組み込み、見かけ上高い金利となるように仕組まれています。ここには市場リスクがありますが、含み損を抱えても融資なので時価評価する必要がありません。
 以前、地域銀行/証券子会社が販売していた仕組み債が問題視され、多くの金融機関で販売停止が相次ぎましたが、こちらは地域銀行自身がリスクをとって、「仕組み融資」を増やしていたのですが、1年以上前から金融庁から指摘されており、今回止めたということかと思います。因みに「仕組み融資」が内包するデリバティブのリスクは、顧客に販売していた株価連動型の仕組み債のリスクに比べ小さいものが中心かと思います。