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第53回「投資運用関係業務受託業者」利用のすすめ(2)

株式会社日本資産運用基盤グループのJAMPビジネス・イノベーション株式会社は、金融商品取引業者様及びその登録を目指しておられる方々向けに当局の動向などをまとめ、発信しています。

2024年5月15日に成立し同月22日に公布された「金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律」の大テーマは「投資運用業者の参入促進」ですが、今回はその施策の一つである「投資運用関係業務受託業制度」を理解して、投資運用業の規制緩和の恩恵を享受しようの第2回です。

前回は、1.投資運用業者の参入促進、2.アドミ業務(投資運用関係業務(「計理業務」又は「コンプライアンスのための業務」)に係る業の任意登録制と規制緩和、3.アドミ業務の種別・内容について、説明いたしました。

今回は、投資運用業者が人的要件緩和を受ける際の注意点等について説明させていただきます。
(1)投資運用業者(委託者)がアドミ業者(アドミ業務を行う任意登録を受けた者)にアドミ業務を委託する場合には、アドミ業務を行う役職員を確保する必要はありませんが、その代わりにアドミ業者を監督する者(委託するアドミ業務の監督を適切に行う能力を有する役員又は使用人)を確保する必要があります。なお、監督者に求められる能力として、委託するアドミ業務の内容を理解・把握し、アドミ業者に対して適確に指示を行う能力が求められますが、アドミ業務を直接遂行するにあたり必要な知識・経験、投資運用業に関する業務への従事経験は問わない、とされています。(金商業者向け監督指針案Ⅵ-3-1-1(1)①ニ)

(2)さらに、同監督指針案Ⅵ-3-1-1(7)②では、投資運用業者(委託者)が、アドミ業者(委託先)に、アドミ業務を委託する際の留意点として以下の3点があげられています。
①委託先に対し、委託したアドミ業務の遂行に関して必要な情報を適時に提供する体制を整備すること。
②委託先から受けた指摘等を適切に反映する体制を整備すること。
③委託者で確保する監督者が、委託先に委託した投資運用関係業務を適切に監督し、委託先に必要に応じて 適切な指示等を行うことができる体制を整備すること。

(3)また、アドミ業者にアドミ業務の委託を行い、人的要件の緩和を受けたとしても、顧客(投資家)に対する責任は、委託者である投資運用業者が負うことに留意すべきです。
監督指針案Ⅵ-3-1-1(1)①ロの本文に関しては、今回の改正で変更はなく、「常務に従事する役員が、金商法等の関連諸規制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有すること。」とされています。

次回は、投資運用業に係る規制緩和に関連して、金融商品取引業の登録申請書の記載事項の追加事項について説明させていただきます。


(JAMPコメント)

今号では 投資運用業者が任意登録を受けた投資運用関係業務受託業者を利用するにあたっての留意点について説明させていただきました。アドミ業務をアドミ業者に委託しても、投資家(顧客)に対する投資運用業者としての責任までもアドミ業者に移転するわけではないのですが、アドミ業務の担当者を自社で確保するのが容易ではない環境下においては有益な制度だと思います。
アドミ業者にアドミ業務を委託し、委託するアドミ業務の監督者としての常務役員を確保することができるのであれば、極めて限られた人数で投資運用業を営むという新たなビジネスモデルの構築にも資するものと考えます。
参入障壁の壁がなくなったわけではありませんが、従来よりも低くなったことを理解したうえで、投資運用関係業務受託業者の利用につきご検討されたらいかがでしょうか。


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