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「JAMPの視線」No.320(2026年2月15日配信)資産運用立国の“構造”を問い直す

JAMP 大原啓一の視点 2026年2月15日 

 先週頭の2月9日(月)に証券・資産運用業界の関係者やメディアの皆さまを対象に弊社・日本資産運用基盤の事業説明会を開催させていただきました。創業間もない2019年の秋に茅場町の東京証券会館の大ホールで会社紹介を兼ねた事業説明会を開催して以来の約6年ぶりの説明会でしたが、約140名もの方々にご参加いただき、嬉しく感じました。ただ、40分のプレゼンテーション+20分の質疑応答という予定のはずが、話しているうちに私がヒートアップしてしまい、60分以上も話し続けてしまい、ご質問をいただく時間がなくなってしまいました・・・。貴重なお時間を使ってご参加いただいた皆さんには大変申し訳なく、反省しています。 


創業前後からご支援いただいた方々も含め、多くの皆さまにご出席いただきました

動き始めた資産、伸びない産業

 私がヒートアップしてしまったのは、大勢の方々の前で話すとつい熱が入ってしまうという私の性格もありますが、それ以上に、「ようやく日本の個人金融資産が資産運用や投資に動きはじめているにもかかわらず、証券・資産運用事業領域における日本の金融機関等の収益力は必ずしも高まっておらず、GDPや税収、雇用等への貢献にも十分に結び付いていない」という現状への問題意識を改めて強く感じたからです。

顧客本位という“思い込み”

 新NISAの開始などを契機に、個人資産が資産運用や投資へと動き始めていること自体は歓迎すべきことです。しかし、その流れの中で、国内の資産運用会社や関連事業者が持続的に収益を確保できているかといえば、必ずしもそうとは言い切れません。近年は運用報酬の引き下げ競争が加速し、「低コストこそ顧客本位である」という価値観が業界の前提となっています。 

 もちろん、顧客にとってコストが低いことは重要です。しかし、価格競争が過度に進み、事業者側が持続的な投資や人材育成、サービス高度化に十分な資源を投じられなくなるのであれば、それは本当に長期的な意味で顧客本位と言えるのでしょうか。適正な対価を確保しつつ、継続的に付加価値を高めることこそが、本来の顧客本位の姿ではないかと私は考えています。 

 価格引き下げそのものを否定するつもりはありません。生産性向上や規模拡大によってコスト構造を改善し、その成果を顧客に還元するのであれば、それは健全な競争です。しかし、付加価値の創出や事業構造の高度化と一体となっていない価格競争は、産業全体の収益基盤を弱める可能性があります。産業としての持続可能性という観点から、この点は改めて検証されるべきだと感じています。

構造を見ずに立国は語れない

 さらに重要なのは、日本の資産運用ビジネスにおける収益の分配構造です。資産運用業は、「アセットマネジメント」「ファンドマネジメント」にとどまらず、資産管理(カストディ)、金融情報配信、指数算出、パフォーマンス評価、監査など、複数の事業レイヤーが重なり合うミルフィーユ状の構造を持っています。 

 この各レイヤーを俯瞰したとき、日本国内で創出された収益のどの程度が国内にとどまり、どの程度が国外に流出しているのか。金融情報配信や指数算出、グローバル資産のカストディなど、多くの領域で海外プレイヤーへの依存度は高くなっています。それ自体が悪いということではありませんが、構造として利益の源泉がどこにあるのかを正確に把握しなければ、「資産運用立国」という言葉は空洞化しかねません。 

 政府が掲げる「資産運用立国」の方向性には、私は賛成です。ただし、その目的は個人の資産形成の高度化だけでなく、資産運用関連産業そのものが成長し、GDP・税収・雇用の拡大につながるという好循環を実現することにあるはずです。そのためには、表層的な商品競争だけでなく、産業構造全体をどう設計するかという視点が不可欠です。ある意味で、経済安全保障的な観点も含めて議論すべきテーマではないかと考えています。

 今回の事業説明会でもお話しましたが、弊社・日本資産運用基盤は、既存のゴールベース型資産運用ビジネス支援サービスや投信ビジネス支援サービスを通じ、証券・資産運用業界で活動する日本の金融機関や関係会社が持続的に収益を確保できる仕組みづくりを支援したいと考えています。さらに中長期的には、このミルフィーユ状の事業レイヤーのどこを日本勢として担うべきかを見極め、その構築に主体的に関与していきたいと思います。


JAMPメンバーの採用情報

 日本資産運用基盤グループでは、事業拡大に伴い一緒に働くメンバーを募集しています。
弊社にご興味のある方、ぜひ働きたいという方はこちらからお申し込みください。
まずはお話だけでも、という方も大歓迎です!

代表の大原とのカジュアル面談でもいいかな、という方ももっとウェルカムです!!

keiichi.ohara@jamplatform.com


News Picks ダイジェスト

代表取締役 大原啓一 のコメント

【金融庁肝いり「金融版アマゾン」不発 保険仲介増えず、制度見直しへ】

大原のコメント→

 金融サービス仲介業の広がりについては、制度設計の段階から構造的な課題があると感じていました。本記事で指摘されている商品・サービスの限定に加え、「所属制」を採用せず、仲介事業者側に内部管理体制の自己整備を求めている点も、特に対面仲介チャネルにおいては参入や拡大のハードルになっている可能性があります。制度趣旨は理解しつつも、実務との接続という観点からは、今後さらに設計の精緻化が求められるのではないでしょうか。

https://newspicks.com/user/121187/?ref=user_121187&sidepeek=news_16025218


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