「JAMPの視線」No.330(2026年4月26日配信)人が介在する金融の課題と可能性
JAMP 大原啓一の視点 2026年4月26日
今年の目標のひとつにベンチプレスで120キロを上げられるようになる等の筋力アップを掲げて頑張っています。年始から体重も5キロほど増量し、ようやく80キロくらいになりましたが、なかなかここから増やすことが難しく、壁にぶつかっています。筋肉が増えて基礎代謝が増えたせいか、気を抜くとすぐに体重が減ってしまいます。なんとか年内に体重を90キロくらいまで増やしたいのですが、そのためには1日に5食くらい食べる必要がありそうで、46歳の胃腸にはちょっと厳しいな、どうしたもんかなと悩み中です。

なぜ繰り返されるのか ― 個人依存モデルの構造問題
さて、足もと、生命保険会社のライフプランナーによる資金詐取の事案が相次いで明らかになり、社会問題化しています。本来はお客様に寄り添い、その人生設計を支えるはずの存在が、その信頼を裏切る行為に及んでいることは、金融業界全体として極めて重く受け止めるべき事象です。ただし、この問題を単なる「個人の倫理」の問題として片付けてしまうと、本質を見誤ってしまうように思います。むしろ重要なのは、なぜこうした事案が一定の頻度で繰り返されるのかという構造ではないでしょうか。
ライフプランナーというビジネスモデルは、本質的に「個人に強く依存したモデル」です。顧客との関係性、情報の非対称性、提案内容の複雑性といった要素が重なり、個人に大きな裁量が委ねられる。その結果、制度や仕組みよりも「人」によって品質が規定されやすい構造になっています。このような構造の中では、一定の確率で逸脱が生じることは避けられません。つまり今回の問題は、個人の問題であると同時に、個人に依存する金融サービスの提供構造そのものの問題でもあると捉えるべきではないかと考えます。
それでも人は必要である ― 対面価値の不可避性
一方、この問題をもって「人を介さない金融に移行すべきだ」という議論に短絡することも適切ではないように思います。生命保険や資産運用といった領域は、顧客のライフプランや将来のゴールに深く関わるものであり、本質的に個別性が高いサービスです。単に商品を選ぶだけではなく、家族構成、収入、将来の不確実性などを踏まえた総合的な設計が求められます。過去、オンライン専業の保険会社が登場した際にも、「これで保険はすべてネットに移行する」という見方がありましたが、実際にはそうはなりませんでした。むしろ、対面チャネルとオンラインチャネルが併存する形で市場は発展しています。
このことは、金融サービスにおいては単なる利便性だけではなく、信頼の形成や意思決定の支援という機能が不可欠であることを示しています。今後も人が介在する対面チャネル、あるいはハイブリッドチャネルが重要であり続けることは間違いないでしょう。問題は「人を排除するかどうか」ではなく、人が介在する前提で、どのようにリスクを制御し、提供する付加価値を最大化するかにあります。
信頼をどう設計するか ― インフラとしての再構築
では、この構造的課題に対してどのように向き合うべきでしょうか。鍵になるのは、「信頼」を個人に依存させるのではなく、構造として設計することだと私は考えます。具体的には、提案プロセスの可視化、意思決定のトレーサビリティ、顧客とのコミュニケーション履歴の共有など、人の裁量を前提としつつも、それを適切に制御する仕組みを整備する必要があります。さらに言えば、商品単位ではなく、顧客のゴールに対する進捗を管理するような仕組みがあれば、提案の質そのものも構造的に担保されやすくなるはずです。
これは、単なるコンプライアンス強化の話ではなく、金融サービスの提供モデルそのものの再設計に関わるテーマです。これまでの金融は、「信頼できる人に任せる」という前提の上に成り立ってきました。しかし今後は、「信頼できる仕組みの上で、人が価値を提供する」という構造へと移行していく必要があります。人の価値を否定するのではなく、その価値が持続的に発揮されるためのインフラを整備する。その視点に立ったとき、今回の問題は単なる不祥事ではなく、金融業界全体に対する構造的な問いを突きつけているように感じます。
今後、各社がどのような再発防止策を講じるのかは重要ですが、それ以上に問われているのは、人と仕組みの役割分担をどう再設計するのかという点ではないでしょうか。弊社もゴールベース型資産運用ビジネス支援サービスの提供・運営を通じ、資産運用サービスの品質を仕組みで担保することを目指してまいります。
JAMPメンバーの採用情報
日本資産運用基盤グループでは、事業拡大に伴い一緒に働くメンバーを募集しています。
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News Picks ダイジェスト
代表取締役 大原啓一 のコメント
【店舗活用最前線 金融業VS携帯ショップ 顧客接点を最重視】
大原のコメント→
携帯ショップは確かに圧倒的な店舗網と来店頻度を持ち、「入りやすさ」という点で優位であることは否定しません。ただし、資産運用のように中長期の意思決定を伴う領域においては、単なる接点の多さではなく、顧客の期待値と提供価値の整合性が極めて重要になります。通信契約の延長線上で資産運用を相談するという文脈は、現時点では必ずしも自然とは言えません。
一方、地域金融機関はこれまでの関係性や信頼に加え、本来は顧客のライフイベントに寄り添ってきた蓄積があります(少なくとも寄り添おうとしてきた)。問題は、それを商品販売ではなく、資産形成のプロセス全体に伴走する形に昇華できているかどうかです。
今後の競争は「どこで接点を持つか」ではなく、その接点を起点にどのような価値提供モデルを設計できるかに移っていくと考えています。携帯ショップは「入口」としては機能し得ますが、継続的な資産運用の伴走という観点では、地域金融機関の方が構造的に優位なポジションにいるように見えます。
https://newspicks.com/user/121187/?ref=user_121187&sidepeek=news_16500571
【「金融志望なら銀行」今や昔 投資運用のプロ目指す学生、2年で5割増】
大原のコメント→
私が興銀第一ライフアセットマネジメント(現・アセットマネジメントOne)に第二新卒で入社した2004年頃は主要な日系資産運用会社で新卒採用が始まって間もなく、金融業界でも資産運用会社に新卒で入社しようとする学生は非常に少なく、隔世の感があります。
ただ、就業希望者が増えているのは素晴らしいことである一方、我が国の資産運用業界が優秀な人材を多く受け止められるほどに収益性を伸ばしているかというと疑問です。確かに巨額の家計金融資産が投資・資産運用へと動き出していることは間違いないと思われるものの、手数料水準の低減や規制対応コストの増大、目に見えない部分での利益の海外流出等によって、資産運用業界の稼ぎはそれほど増えていません。
「資産運用立国」とは、一般生活者が金融所得も安心・安全な生活の糧にできるような環境を整備することという一面は否定しませんが、「立国」を掲げる以上、資産運用業が我が国のGDPや税収、雇用等に貢献することも目指すべきではないでしょうか。
https://newspicks.com/user/121187/?id=121187&ref=user_121187&sidepeek=news_16508557
主任研究員 長澤 敏夫 のコメント
【山形県で金融教育前進 受けた人の割合、全国首位 昨年、公的機関調べ 地銀の出前授業など結実】
長澤のコメント→
金融リテラシーを定量的に計測しようと思うと、アンケート調査で、金利と債券価格の関係、金利とインフレ率の関係、分散投資の効果、積立投資の効果などに関する質問をして、その正答率と様々な属性(年齢層、投資経験の有無など)とを比較することが多いのですが、知識を増やすことが金融経済教育のゴールではなく、得た知識をもとに実際の生活や行動に結びつけることができるかが重要かと思います。
新NISAを契機とした投資への関心の高まりを受け、様々なセミナーが開催されているが、中には怪しいものも見受けられるそうです。金融経済教育により投資に踏み出すことも当然重要ですが、怪しいものを怪しいと思い、近づかない、騙されないという行動ができるようになることも重要です。記事にあるような詐欺、闇バイトから身を守るための知識や人生設計や資産形成に関する知識などが特に若年層にとっては必要かと思います。
https://newspicks.com/user/6551307/?ref=user_6551307&sidepeek=news_16509422
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