「JAMPの視線」No.339(2026年6月28日配信)末っ子の誕生日に考える、日本版FMCの現在地
JAMP 大原啓一の視点 2026年6月28日
本日6月28日は、私の47歳の誕生日です。孔子は「四十にして惑わず」と言いましたが、そこから7年も過ぎた今も、私は相変わらず惑ってばかりです。30歳頃に想像していた40代後半の自分は、もう少し落ち着いた成熟した大人だったはずですが、現実はなかなかそうはいきません。レオン・ワルラスが好んだと言われる言葉に、「静かに行く者は健やかに行く、健やかに行く者は遠くまで行く」というイタリアの諺があります。派手さや近道を求めすぎず、自分らしく、心健やかに、しかし歩みは止めない。そんな47歳の一年にしたいと思います。
もう一人の誕生日
実は6月28日は、私だけでなく、日本資産運用基盤グループの大切な「末っ子」であるJAMPファンド・マネジメント株式会社の誕生日でもあります。同社は2022年6月28日に設立され、本日で4歳になりました。
JAMPファンド・マネジメントは、当社グループの中では一番若い事業子会社です。まだ4歳ですので、親の目から見れば、少し背伸びをしているように見える場面もあります。最近ではETFホワイトレーベルサービスやPEITホワイトレーベルサービスなど、周囲が「本当にそこまでやるのか」とはらはらするような新しい取り組みにも果敢に挑戦しています。
ただ、末っ子だからといって、甘やかしてよい事業ではありません。投資信託委託業者として投信受益者の大切な資産の運用に関わる以上、商品企画、運用管理、基準価額算出、開示、コンプライアンス、外部委託先管理、プロダクトガバナンスまで、一つひとつを丁寧に積み上げる必要があります。
この4年間、JAMPファンド・マネジメントは、華やかな挑戦だけをしてきたわけではありません。むしろ、資産運用業者として当然に求められる地味で緻密な業務を、日々積み重ねてきました。目に見えやすい新規事業の裏側で、投資信託委託業者としての運営体制、業務管理、外部委託先との役割・責任分担を整え、足腰を鍛えてきた時間でもありました。
かわいい末っ子ではありますが、同時に、資産運用業を担う一人前の事業会社として育てなければならない存在です。その意味で、4歳の誕生日を迎えたことには、親としての感慨と、事業オーナーとしての責任の両方を感じています。
制度が追いつき、市場が動き始めた
もともと、日本版ファンドマネジメントカンパニー、いわゆるFMC/ManCo事業の構想は、創業間もない頃から持っていました。ただ、当時の当社は今よりもさらに小さなスタートアップ企業でした。投資信託委託事業を自ら立ち上げ、運営することは現実的ではないと考え、大手システム会社や信託銀行などに企画を持ち込み、協業や合弁の可能性を探っていました。しかし、金融商品取引業をグループ内に持つことへの慎重さ、既存顧客である資産運用会社やグループ内運用会社とのカニバリゼーションへの懸念もあり、構想に関心を示していただくことはあっても、実際に踏み込む企業はなかなか現れませんでした。
悶々とした時間を経た末に、結局は自分たちで最初から最後までやり切るしかないと覚悟を決め、設立したのがJAMPファンド・マネジメントでした。今になって振り返ると、これは結果的に正しい選択だったと思います。日本版FMCという構想に共感して集まってくださった資産運用業界のプロフェッショナルの皆さんの力により、事業立ち上げ・運営は着実に進んできましたし、何より自社で事業オーナーシップを持つことで、意思決定のスピードと一貫性を持つことができました。
JAMPファンド・マネジメントの立ち上げ、投資運用業の登録、第1号案件となる九州みらいインベストメンツ様との私募投信ホワイトレーベル案件の準備を進める一方で、金融庁の皆さまや自民党・金融調査会での議論にも参加させていただきました。その後、2024年の金融商品取引法改正により、投資信託の運用権限の全部委託に関する制度整備が進み、日本版FMC/ManCoモデルは、より明確に制度上位置づけられることになりました。
もちろん、法改正以前に日本版FMCが全く不可能だったわけではありません。助言形式や再委託形式を活用した類似のモデルは従前から存在し得ましたし、その意味で「日本版ファンドマネジメントカンパニーとか大げさな表現をしているけど、いわゆる『サブアド』ですよね」と言われることもしばしばあります。ただし、今回重要だったのは、単なるストラクチャー論ではありません。資産運用業における外部委託、役割・責任分担、基準価額算出の一者計算やマテリアリティポリシーといった実務論が深まり、分業を前提とした資産運用業の運営モデルが、制度と実務の両面から整理され始めたことです。
さらに、この制度整備を受けて、東京証券取引所の上場制度も見直され、ETFホワイトレーベルサービスやPEITホワイトレーベルサービスといった新しいユースケースが現実のものになりつつあります。これは、日本の資産運用業における大きな変化です。投資運用戦略を持つ会社が、必ずしも自らフルセットの運用会社を持たなくても、適切な管理会社機能と組み合わせることで、投資家に商品を届けられる時代が近づいています。
金融・資産運用業界では、ともすると「自前主義」こそが安心だと見られがちです。しかし、本当に重要なのは、すべてを自社で抱えることではありません。誰が何に責任を持ち、どの機能をどの専門家が担い、全体として投資家に対する責任を果たせるかです。
4歳になったJAMPファンド・マネジメントは、まだまだ若い会社です。しかし、若いからこそ、古い前提を疑い、新しい分業モデルを正面から設計できる立場にあります。派手に見える近道ではなく、投資信託委託業者としての責任を一つひとつ果たしながら、健やかに、遠くまで歩んでいくこと。47歳になった私自身も、4歳になったこの「末っ子」とともに、日本の資産運用業の新しい基盤づくりに、静かに、しかししぶとく取り組んでいきたいと思います。
JAMPメンバーの採用情報
日本資産運用基盤グループでは、事業拡大に伴い一緒に働くメンバーを募集しています。弊社にご興味のある方、ぜひ働きたいという方はこちらからお申し込みください。
まずはお話だけでも、という方も大歓迎です!
代表の大原とのカジュアル面談でもいいかな、という方ももっとウェルカムです!!
News Picks ダイジェスト
代表取締役 大原啓一 のコメント
【資産運用業協会が「就活Expo」を開催=前年を大幅に上回る参加者、若手・女性社員の生の声を発信】
大原のコメント→
2004年に、当時としてはまだ珍しかった第二新卒として興銀第一ライフ・アセットマネジメント(現・アセットマネジメントOne)に入社した身としては、資産運用業界の就活イベントに約210人もの学生が集まったという記事には、率直に感慨があります。
当時は、大学卒業後に新卒でアセットマネジメント会社に入る若手はまだ少なく、銀行、証券、生保、信託などからの異動や転職を通じて資産運用業界に入ってくる人が多かったように記憶しています。資産運用会社は専門性の高い職場である一方、若い人材が最初からキャリアとして選ぶ業界としては、必ずしも十分に認知されていませんでした。
今回の記事で印象的なのは、若手社員がトレーディング、プロダクトマネジメント、ポートフォリオマネジメントなど、それぞれの現場で具体的な専門性を語っている点です。資産運用業界の仕事は、花形とみなされがちな投資運用業務だけではありません。調査、売買執行、商品企画、リスク管理、オペレーション、コンプライアンス、機関投資家向け営業、投信販売会社向け営業など、多様な専門機能の集合体です。
資産運用立国を本気で目指すのであれば、制度や商品だけでなく、人材が継続的に流入し、育ち、長く活躍できる産業でなければなりません。若い人材が資産運用会社をキャリアの出発点として選ぶようになることは、業界にとって非常に重要です。
一方で、採用イベントで関心を集めるだけでは不十分なように感じます。入社後に専門性を磨き、長期で市場や企業、投資家に向き合い、事業や産業を作る側に成長できる環境を用意できるかが問われます。資産運用業界が、若い人材にとって「面白そうな就職先」から「人生をかけて専門性を磨き続けられる産業」になれるかどうか。そこに、資産運用立国の本当の成否が表れるのだと思います。
https://newspicks.com/user/121187/?ref=user_121187&sidepeek=news_16939881
主任研究員 長澤 敏夫 のコメント
【ラップ口座、初の200万件突破 株高追い風に残高27%増】
長澤のコメント→
地域金融機関の方とお話ししていると、ファンドラップは金融庁がモニタリングを強化しており、何か指摘されると嫌なので取扱い開始を躊躇しているという声を聞くことがあります。これは全くの誤解と言っていいと思うのですが、金融庁は23年6月の年次レポートで、投資信託とファンドラップを資産形成商品とよび、仕組み債などその他のリスク性金融商品とは扱いを分けました。一般生活者向けの中長期的な資産形成・資産運用商品はこれらがコアとなると考えていると思います。ファンドラップは、販売手数料が無く回転売買の対象にならず、顧客の残高が増えると金融機関の収益も増えるという利害のベクトルが一致している、両者がWin-Winの関係になれるサービスです。金融庁は、ファンドラップを大切に育てていく必要性を感じているので、売り方を間違えないようにモニタリングをしているのであって、ヒアリングを受けるから取り扱わないというのは本末転倒ではないかと感じます。
https://newspicks.com/user/6551307/?ref=user_6551307&sidepeek=news_16950237
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