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「JAMPの視線」No.345(2026年8月12日配信)顧客本位は、営業現場ではつくれない

JAMP 大原啓一の視点 2026年8月12日 

 小学校1年生の次男が、近くの公園でショウリョウバッタを捕まえてきました。昆虫を見かける機会があまりないせいか、「ぴょんこ」と名前をつけ、虫かごをずっと眺めたり、絵日記を書いたりと大騒ぎです。我が家では、途中で世話をしなくなるとかわいそうなので、犬や猫を飼いたいと言われてもこれまでダメと言ってきました。ただ、バッタを甲斐甲斐しく世話する姿を見ていると、情操教育としてはアリなのかな、と少し考えが揺らぎます。もっとも、私に似て子どもたちも飽きっぽいので、犬や猫については「ぴょんこ」の飼育実績を見てから判断したいと思います。

同じ問題が、商品を変えて繰り返されてきた

- 商品や販売手法だけが問題なのだろうか -

 さて、先々週のコラムでは、「骨太の方針2026」と「成長投資を促進するための金融戦略」を取り上げ、資産運用立国が「貯蓄から投資へ」の次の段階、すなわち集めた資金を誰がどのような規律で配分するのかを問う段階に入ったと書きました。先週は、その資本配分を担う資産運用会社が、本当に企業調査、投資判断、ポートフォリオ構築という本来の仕事へ経営資源を集中できる生産構造になっているのかを、「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2026」、いわゆる「プログレスレポート」から考えました。今週は、資産運用サービスのもう一方の担い手である販売金融機関について考えてみたいと思います。

 金融庁は7月29日、「リスク性金融商品の販売・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果について」、いわゆる「モニタリングレポート」を公表しました。「顧客本位の業務運営に関する原則」が公表されたのは2017年3月。それ以降、取り上げられる商品やテーマは、投資信託の回転売買、販売手数料偏重、積立投資、顧客セグメント、ストック型ビジネスへの転換、仕組債、外貨建一時払保険、銀証連携、プロダクトガバナンス、三線管理と、大きく変化してきました。2020事務年度には既に、顧客本位の業務運営と持続可能なビジネスモデルをどう両立させるかが論じられ、翌年度には経営戦略を営業現場へ落とし込み、その結果を検証して改善するPDCAの必要性も明示されています。したがって、「今年になって経営陣の関与やPDCAが重視されるようになった」と読むのは正確ではありません。

「リスク性金融商品の販売・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果について(概要版)」より抜粋

 今回、私が大きな変化だと感じたのは、PDCAが一つの論点なのではなく、レポート全体を貫く分析のフレームになったことです。その背景を、金融庁自身がかなり率直に記しています。投資信託の回転売買、仕組債の早期償還後の再販売、ターゲット型外貨建一時払保険の乗換販売、外国株式の短期売買など、過去に問題提起してきたものと同種の課題が、商品を変えながら繰り返し発生しているというのです。一つの販売上の問題を是正すると、しばらくして別の商品で似た問題が現れる。少々意地悪な言い方をすれば、金融行政も販売金融機関も、延々と「モグラ叩き」を続けることになります。だとすれば、本当に直すべきなのは、個々の商品や販売手法だけなのでしょうか。

 今回、金融庁は「モニタリング手法を転換」し、販売金融機関がどのような仕組みや流れで顧客本位の業務運営を実践しているかを中心に実態把握を行ったと明記しています。個別商品の問題から一段上がり、なぜ同じような販売行動が繰り返し生まれるのか、その行動を生み出している経営構造そのものを見る。私は、今回のレポートの最大の特徴をそこに感じます。

販売行動は、営業員ではなく経営システムがつくる

- 目的と手段がズレていると「モグラ叩き」は終わらない -

 今回のレポートは、文字どおり「計画【P】」「実践【D】」「検証【C】」「改善【A】」という構成になっています。ただし、ここでいうPDCAは、営業部門が毎年販売計画を立て、結果を反省して翌年度の施策を考える、といった話ではありません。出発点は経営理念やビジョンです。そこから、どのような顧客にどのような付加価値を提供するのかというリテールビジネス戦略を定め、取組方針、組織体制、人員や経営資源の配分、営業目標、業績評価体系、商品ラインナップへと落とし込む。そして、それらが営業現場でどのような行動となり、顧客にどのような結果をもたらしたのかを検証し、必要なら根本原因まで遡って改善する。今回のレポートは、この一連の因果関係そのものをモニタリング対象にしています。

 これは重要な視点の転換です。金融商品の不適切な販売が起きると、どうしても営業現場に目が向きます。「顧客ニーズをもっと丁寧に確認しよう」「顧客本位を徹底しよう」「研修を増やそう」等。もちろん、どれも重要かつ必要です。しかし、営業員に「顧客本位であれ」と教える一方で、高い手数料収入を上げた人ほど高く評価される制度になっていれば、どちらのメッセージが強く作用するでしょうか。過去のモニタリングでも、販売手数料中心の評価から預り資産残高を重視する評価へ見直す動きが確認される一方、収益項目の配点が高く、顧客本位の取組が評価全体に与える影響が限定的な事例も指摘されてきました。

 人は理念だけで行動するわけではありません。評価される行動を取ります。営業現場で起きていることは、営業員個人の倫理観だけではなく、商品政策、収益目標、人員配置、業績評価など、経営が設計した仕組みの結果でもあります。そう考えると、「顧客本位」という言葉の意味も少し違って見えてきます。顧客本位の業務運営は、コンプライアンス部門が営業員に守らせる行動規範だけではありません。どの顧客にどのような価値を提供し、どこから収益を得て、どこへ人材を配置し、どの行動を評価するのかという、経営そのものの問題です。

 言い換えれば、顧客本位は「良い人を育てる問題」である以前に、顧客にとって望ましい行動が、組織にとっても合理的になる仕組みをつくる問題なのだと思います。経営理念で顧客本位を掲げながら、事業戦略、計数目標、人員配置、評価体系が別の方向を向いていれば、営業現場だけに整合性を求めても無理があります。今回のモニタリングレポートが経営陣の主体的な関与を繰り返し求めているのは、このような構造まで含めて顧客本位を実装する必要があるからだと、私は読みました。

ファンドラップで問われているのは、「商品」ではなく「サービス」の価値である

 もう一つ、今回のレポートで私が特に興味深く読んだのが、ファンドラップについての記述です。ファンドラップについては、投資信託等と比べたコストの高さや、低リスクコースにおける運用効率がしばしば問題になります。今回も金融庁は決して甘くありません。低リスク帯のコースでは、2015~2024年度の総コスト控除後の実績リターンが期待リターンを下回っていることなどを示し、コストに見合う経済的価値が提供されているかを検証する必要があるとしています。一方で、ファンドラップそのものを否定しているわけでもありません。むしろ、顧客ごとの運用方針に沿った資産配分の設計・管理と継続的な顧客対応を組み合わせた包括的なサービスとして、顧客の投資目的や資産状況に応じて、安定的な資産形成を支援する有効な選択肢の一つになり得ると評価しています。

「リスク性金融商品の販売・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果について(概要版)」より抜粋

 ここが非常に面白いところです。「金利のある世界」になり、定期預金や円建債券でも一定の利回りが得られるようになりました。低コストのバランス型インデックスファンドなど、簡便に資産配分を実現する手段も増えています。そうした中で、追加的なフィーを支払ってファンドラップを利用する意味はどこにあるのでしょうか。金融庁は今回、ファンドラップの報酬の対価を、「運用設計・運用管理」「コンサルティング・顧客対応・継続支援」「組入商品に係る運用」という三つの役務に分けて整理しています。特に二つ目には、顧客の投資目的やリスク許容度の把握、資産設計への助言、市場変動時やライフイベント発生時のフォローアップ、継続的なコミュニケーションによる意思決定支援まで含まれています。

 これは、単純な手数料批判とはかなり違う議論です。もちろん、フィーの水準そのものが重要でないわけではありません。リスクやリターン、代替的な運用手段との比較に照らして、コストの合理性は当然問われます。ただ、価格だけでサービスの良否が決まるわけでもありません。問われるべきなのは、そのフィーが何の対価であり、それに見合う価値が実際に提供されているのかです。金融庁も、顧客が負担するコストに見合う付加価値が提供されている限り、サービスを絞って低コスト化する方向も、サービスを充実させて付加価値を高める方向もあり得ると整理しています。

お客様にとってのベネフィットが考えられているか

お客さまのベネフィットは「最適なポートフォリを持つこと」であり、その「買い替え」を促すのが営業員の役割なのか -

 この整理は、私たち日本資産運用基盤がゴールベース型資産運用サービスの基盤づくりを通じて、これまで重視してきた考え方とも重なります。お客様にとって重要なのは、最適なポートフォリオを持つこと自体ではなく、自らの人生設計というゴールを実現するためのプランを持ち、それを継続的に実行し、必要に応じて見直していけることです。資産運用もポートフォリオも金融商品も、そのための手段にすぎません。

 そう考えると、この議論はファンドラップだけにとどまりません。そして、「販売」という言葉にも、やはり少し違和感があります。販売金融機関の付加価値は、資産運用会社がつくった商品をお客様へ届けることだけにはありません。お客様の人生設計や資産全体を理解し、どのような経済的な準備が必要なのかを一緒に考え、そのための計画をつくり、適切な金融商品やサービスを選び、その実行を支え、市場環境やライフイベントの変化に応じて継続的に見直していく。今回、金融庁がファンドラップの提供意義として、ライフプランや投資方針の変化を踏まえたポートフォリオの見直しや維持・管理等のコンサルティングを挙げていることは、この意味でも非常に示唆的です。

 ファンドラップを単に「投資信託を組み合わせた比較的高コストの商品」と捉えるのか、「継続的な資産形成支援サービス」と捉えるのかでは、評価の物差しそのものが変わります。その意味でファンドラップは、一つの商品カテゴリーというより、販売金融機関のビジネスが「金融商品を売ること」から、お客様の人生設計に沿った資産形成を継続的に支援することへ進化できるのかを問う、一つの試金石なのだと思います。

資産運用サービスは、製造と提供の両方で価値が決まる

 こう考えると、先週取り上げた「プログレスレポート」と、今週の「モニタリングレポート」は、趣旨の異なるレポートでありながら、資産運用サービスという一つのバリューチェーンを両側から見ているように思えます。先週のコラムでは、「プログレスレポート」が掲げる問題意識を、資産運用会社をもう一度「運用する会社」に戻すことだと捉えました。指図、投信計理、レポーティングなど、資産運用会社でなくても担える非競争領域を標準化・外部化し、そこに拘束されている人材と資本を、企業調査、投資判断、商品設計、受益者理解へ戻す。それによって、資産運用会社が本来の付加価値へ集中できる生産構造をつくるという議論です。

 今週のモニタリングレポートが販売金融機関に投げかけている問いも、実はよく似ています。販売額を積み上げることや、必要な商品説明を適切に行うことだけが、販売金融機関ならではの付加価値ではありません。限られた人材と経営資源を、顧客理解、人生設計を踏まえた資産設計、適切な商品・サービスの選択、そして長期にわたる実行支援へどこまで振り向けられるのかが問われます。

 資産運用会社は、顧客から託された運用目的の下で投資機会を選別し、投資判断と運用を通じて価値を生みます。一方、販売金融機関は、お客様の人生設計や資産状況を起点に、実現すべき目標と必要な計画を考え、資産運用を含む金融サービスを適切に選び、その実行を継続的に支援することで価値を生みます。同じ資産運用サービスの中にいても、両者が担う専門性は同じではありません。

 どれほど優れた運用商品であっても、それがお客様の目的や資産全体との関係を無視して提供されれば、顧客価値にはつながりません。一方、どれほど丁寧なコンサルティングを行っても、その先に提供される運用商品が十分な価値を生まなければ、やはり資産形成にはつながりません。製造と提供のどちらか一方だけを高度化しても、資産運用サービス全体の価値は高まらないのです。だからこそ、資産運用会社と販売金融機関がそれぞれ何を自らの付加価値として担い、どの機能を専門事業者や共通基盤へ委ね、さらに製造側と提供側の間で顧客ニーズや商品特性、提供後の成果に関する情報をどう循環させるのか。その分業構造まで含めて考える必要があります。

同じ資産運用サービス・バリューチェーンを俯瞰して構造の「全体最適」化を考える

 2017年に「顧客本位の業務運営に関する原則」が公表されて以降、金融庁は、回転売買、仕組債、外貨建一時払保険、外国株式など、商品を変えながら繰り返される販売上の問題を追い続けてきました。その積み重ねの先で、今回のレポートが焦点を当てたのは、個々の商品や販売行為の是非だけではなく、それらを生み出す経営の仕組みでした。営業現場で起きていることを変えるには、その一つ上にある業績評価や商品政策を変えなければならない。そして、それらを変えるには、さらに上流にあるリテールビジネスの収益モデルや経営資源の配分まで見直さなければならない。個別商品の「モグラ叩き」を続けた先で、議論が経営そのものへたどり着いたのは、ある意味では必然だったのかもしれません。

 私たち日本資産運用基盤も、資産運用会社や販売金融機関がすべての機能を自前で抱えるのではなく、それぞれが本当に付加価値を生む領域へ経営資源を集中できる基盤をつくることで、こうした構造転換に貢献していきたいと考えています。そして、その先にあるのは、金融商品を効率よく「製造し、販売する」産業ではなく、運用の専門性と顧客支援の専門性が適切に組み合わされることで、お客様の人生にとって意味のある金融サービスを提供できる産業だと思います。

 その議論を突き詰めると、販売金融機関に残る問いは極めてシンプルです。お客様から、何の対価としてフィーをいただくのか。金融商品を販売・媒介したことの対価なのか。それとも、お客様が目指す人生から逆算して計画をともにつくり、適切な手段を選び、その実行を長く支えることの対価なのか。今回のモニタリングレポートは、「顧客本位」を販売現場の行動規範として語る段階から一歩進み、リテール金融ビジネスがそもそも何を価値として顧客に提供し、何によって収益を得るのかという問いを、販売金融機関の経営陣に改めて投げかけているのではないか。私は、今回のレポートをそのように読みました。


JAMPメンバーの採用情報

 日本資産運用基盤グループでは、事業拡大に伴い一緒に働くメンバーを募集しています。弊社にご興味のある方、ぜひ働きたいという方はこちらからお申し込みください。
まずはお話だけでも、という方も大歓迎です!

代表の大原とのカジュアル面談でもいいかな、という方ももっとウェルカムです!!

keiichi.ohara@jamplatform.com


News Picks ダイジェスト

代表取締役 大原啓一 のコメント

【円債に海外マネー、日本の運用各社が戦略強化 みずほ系は欧州から運用受託へ】

大原のコメント→

 国内資産運用会社が、海外投資家向けの円債ビジネスを強化しているという意味は、単なる「円債人気の復活」ではなく、日本の運用会社が国内市場に関する情報優位を、輸出可能な運用サービスへ転換できるかという試金石だと思います。

 国債のベータは海外運用会社やETFでも容易に提供できるため、日本勢の付加価値は、日本企業の信用分析、発行市場へのアクセス、流動性の乏しい社債の執行力にあります。ただし、欧州籍UCITSという器に載せるだけで輸出産業になるわけではありません。海外投資家との接点や商品設計を海外の販売会社に握られ、日本勢が運用の一部を受託するだけなら、利益プールの中心は依然として国外に残ります。

 問われるのは円債残高の拡大ではなく、日本の運用会社が運用、商品、顧客関係を一体で持ち、同じ戦略を複数の海外投資家へ再現性をもって提供できるかです。

https://newspicks.com/user/121187/?ref=user_121187&sidepeek=news_17232174

【いよぎんHDと愛媛銀行が電撃統合、お家芸「船舶金融」のシナジーと課題は?伊予銀行の人事が示唆する“巨大地銀化”への道】

大原のコメント→

 伊予銀行(いよぎんHD)と愛媛銀行の経営統合で注目すべきは、船舶金融の残高をどこまで増やせるかではなく、両行の審査力を「保有する融資」から「組成して外部へ流通させる資産」へ転換できるかだと思います。

 同じ地域で同じ産業を得意とする銀行が統合すれば、知見は集約されますが、単純に融資残高を積み上げれば、海運市況、船価、為替など共通のリスク要因への集中も高まります。統合によって貸出余力が無条件に増えるわけではなく、むしろ業種別・債務者別の与信限度が制約となり、地域への資金供給が細る可能性すらあります。

 真のシナジーは、専門的な審査能力を使って案件を組成し、協調融資、ファンド、証券化などを通じて地域外の投資家へリスクを再配分することにあります。バランスシートを大きくする統合から、地域の金融資産を市場へ接続する統合へ進めるかが、本当の評価軸だと考えます。

https://newspicks.com/user/121187/?id=121187&ref=user_121187&sidepeek=news_17232179

【SBIが地銀の顧客を握って経営支配を強める「3ステップ」が判明、筑邦銀行の反旗で露呈した“対等な提携”の限界…次に決別する地銀はどこか?】

大原のコメント→

 「SBIと地銀の『対等な提携』の限界」をSBIによる強引な支配姿勢が問題だとだけ捉えると、金融業の構造変化を見誤ると思います。現在の金融機関における支配権は、議決権比率だけでなく、勘定系システム、顧客データ、商品供給、デジタル接点を誰が握るかによって分解して考える必要があります。

 とりわけ勘定系を含む統合基盤へ移行すると、資本提携は解消できても、業務を別の基盤へ移すコストは極めて大きくなります。少数株主でも、システムと商品供給網を押さえれば、地銀の経営判断に対する実質的な影響力は持てる。これは法的な子会社化とは異なる、いわば「機能による支配」です。

 従って、本質的な論点はSBIの善悪ではなく、共通基盤のガバナンスです。顧客データは誰に帰属するのか、サービスを部品単位で変更できるのか、価格や仕様変更に地銀が関与できるのか、現実的な退出手段があるのか。これらが確保されなければ、水平分業は地域銀行の自立を支える基盤ではなく、業界レベルの垂直統合になりかねません。

https://newspicks.com/user/121187/?id=121187&ref=user_121187&sidepeek=news_17232239

【国債NISA対象化が浮上、安定消化へ個人マネー呼び込み―副作用もはらむ】

大原のコメント→

 国内NISA対象化を巡る議論の本質は、「資産形成政策か国債管理政策か」という目的の混線だけではありません。NISA枠は限られた税制資源です。そこにリスクフリー資産を入れることは、家計金融資産がリスク性資産へ向かう税制インセンティブを相対的に弱めます。

 さらに、預金から個人向け国債へ資金が移れば、政府は安定保有者を得る一方、銀行は低コストの預金基盤を失いかねません。つまり、政府債務の安定化が、民間銀行の金融仲介能力を弱める可能性もあります。

 評価すべきは国債の販売額ではなく、家計の資産配分、銀行の負債構造、国債の保有構造を同時にどう変える制度なのかです。NISAは「何を非課税にするか」によって、国全体の資本配分を変える制度でもあります。

https://newspicks.com/user/121187/?id=121187&ref=user_121187&sidepeek=news_17258707

【BlackRock Reports Second Quarter 2026 Diluted EPS】

大原のコメント→

 ブラックロックの競争力をAUMの大きさで理解すると、本質を見誤ります。同社は低コストETFで顧客資金との接点を押さえ、Aladdinで投資判断とリスク管理のワークフローに入り込み、プライベート市場では案件組成と資金供給を担っています。

 つまり、同じ顧客との関係を、商品報酬、テクノロジー利用料、プライベート資産の組成・運用報酬という三つの利益プールで収益化している。AUMは原因ではなく、この構造の結果です。

 日本の運用会社は「どの商品/資産クラスでアルファを出すか」に目が向きがちですが、世界の競争は、投資家の意思決定工程と企業への資金供給経路を誰が握るかへ移っています。ブラックロックと同じ規模を目指す必要はありません/現実的ではありませんが、少なくとも自社がどのレイヤーで勝負するのかは明確にしなければならないと考えます。

https://newspicks.com/user/121187/?id=121187&ref=user_121187&sidepeek=news_17114552

【米MMFが運用資産の満期を短縮、金融政策巡る不透明感で】

大原のコメント→

 MMFの満期短期化は、単なる金利見通しの変更ではありません。運用会社は長めの金利を固定する収益を放棄し、短期間でより有利な金利へ再投資できる「オプション価値」を買っていると見るべきです。

 個々のファンドでは小さな判断でも、巨大なMMF市場が一斉に短期化すれば、短期国債、レポ市場、政府機関債の需給が変わり、イールドカーブや金融政策の伝達にも影響します。現在の短期金融市場では、中央銀行の政策金利だけでなく、財務省の国債発行年限とMMFの流動性選好が交差しています。

 MMFのWAMは地味な指標ですが、市場参加者が誰にデュレーションリスクを押し付け、誰が流動性を保有しているのかを映す指標でもあります。

https://newspicks.com/user/121187/?id=121187&ref=user_121187&sidepeek=news_17258755

主任研究員 長澤 敏夫 のコメント

【金融庁、仕組預金の監督指針改正 途中解約で元本割れ「丁寧で分かりやすい説明を」】

長澤のコメント→

 銀行研修社の銀行実務8月号に『金利上昇局面における「仕組み預金」の適切なアドバイス』として寄稿させていただきました。ただし、監督指針の改正案が公表される前の執筆だったため、改正点の中身については言及しておりません。今回の改正により「丁寧で分かりやすい説明を」徹底することはもちろん必要ですが、契約手続きにさらに時間をかけたり、資料やアプリ画面の注意書きを増やしたりする手続き面の対応にとどまらず、苦情の根本的減少に向けては、より本質的なアプローチが求められると考えております。具体的には、例えば、対面営業の場合には、新規提案時のニーズの深堀と「自分ごと化」により、リスク情報を含む販売員の説明に対する顧客の理解度向上と記憶への定着を図るなどの工夫が必要かと思われます。 

https://newspicks.com/user/6551307/?ref=user_6551307&sidepeek=news_17262461


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