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「JAMPの視線」No.276(2025年4月13日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】


 目次
①JAMP 大原啓一の視点
②JAMPメンバーの採用情報
③NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
④インフォメーション



JAMP 大原啓一の視点 2025年4月13日


 10年前に日本に帰国してからはずっと2LDKのマンションを借りて暮らしていたのですが、子どもたちも大きくなって手狭になってきたこともあり、35年の住宅ローンを借りられるギリギリの45歳になってようやく一戸建てを購入することになりました。子どもたちの学校や習い事の関係もあって、新居はいま住んでいるマンションから徒歩1分くらいのすぐ近所なのですが、とはいえ引っ越しやら電気・ガス・水道・インターネット等の移転手続きやら区役所への届け出やら色々なことをやらなきゃいけなくて死にそうになっています・・・。

 さて、そんなこんなもあり、最近になって住宅ローンや定期預金等の金融サービスを実際に自分で利用することになったのですが、以前から弊社が各所で主張している通り金利はコモディティだなあということを改めて感じました。

 例えば、住宅ローンについては、私も親しくさせて頂いているMFSという金融スタートアップが提供する「モゲチェック」というサービスを使えば、全国の様々な金融機関の住宅ローンをスマホで比較することができるだけではなく、それぞれの家庭に最適な住宅ローンを提案してくれ、アドバイザーが申し込み手続き等も代行してくれます。私の場合、スタートアップ企業の経営者兼オーナーであることもあり、一般的な金融機関では住宅ローンを借りることが難しいのですが、私のようなプロファイルでも大丈夫な金融機関を選定してくれ、実際に候補の金融機関への問い合わせ等も全て代わりに行なってくれました。

 また、定期預金についても、スマホで定期預金の金利ランキングを検索すると、全国の金融機関の定期預金金利のランキングが表示され、スマホの画面から口座開設申し込みや定期預金の利用申込等も一括で行うことができます。

 結果、住宅ローンについても定期預金についても、自分にとって最良の金利条件を選んだうえでサービスを利用させて頂くことになったのですが、それぞれの取引金融機関は私が普段から生活費の決済や資産形成等で利用している銀行とは全く別のところでした。普段から利用している銀行はインターネット経由での利用が中心ではあるものの、長年使っていて愛着もありますし、送金や引き落とし等の決済口座を分散することへの抵抗感もあるのですが、住宅ローンや定期預金といった金融サービスを利用するうえでは、その辺りの考えは大きな抵抗にはならず、純粋に金利条件のみで選択することになりました。

 昨年からの「金利のある世界」の復活に伴い、多くの地域銀行が金利条件の優遇等の施策で預金集めを積極的に行うなど、従来型銀行事業モデルである金利ビジネスに注力する動きを見せています。ただ、過去に金利のあった数十年前とは異なり、足もとは上述の通りスマホを用いたインターネットでの金利サービスの比較などが容易にできる環境にあり、金利のコモディティ性が暴力的に発揮されることを止めることは困難です。このような状況において、メガバンク等に比べて体力面で劣後する地域銀行が純粋な金利水準の競争に無防備にあけくれるのは果たして賢明なことでしょうか?以前から私たちが主張している通り、お客様の人生設計をお金の面でサポートをさせて頂くような粘着性のあるサービスを通じ、お客様との関係を再構築する、地域銀行にとってはそんな取り組みが「金利のある世界」では最も重要であると改めて感じています。




News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)


【投信協と投資顧問業協、合併後の名称は資産運用業協会】
大原のコメント→
 合併の方向性やスケジュール、合併後の名称等はあらかじめ予想されていた通りですので驚きはありませんが、いよいよ具体的になってきたことを感慨深く感じます。これまで何度か統合の試みがあったにも関わらず全て断念してきた両協会がいよいよ統合するという事実に「資産運用立国」の本格的な流れを感じます。




News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)


【西日本シティ銀老司支店、シニア見守りで信頼得る 投信販売増にも寄与】
長澤のコメント→
 社会貢献の一環で始めたとのことなので、営業効率を求めるものではないのかもしれませんが、こうした活動は家族を含めた顧客からのロイヤリティーを高め、また、ライフプランや悩みを引き出すことで様々な取引にもつながり得るものかと思います。
 現代は大相続時代とも言われていますが、それに伴い家計資産の世代間移転と同時に地域間移動が増えているとのことです。地域金融機関としても色々な対策を考えていることかと思われますが、相続人としては生前に親の取引金融機関と面識やコンタクトが全くない場合は義理もないので、解約して自分の取引金融機関に持っていってしまうのはある意味当然かと思われます。また、相続時に親の保有する金融商品を見て、高齢者になぜこんな商品を販売したのだという疑念を抱いた場合も取引の継続は難しいでしょう。
 相続資金のつなぎ止めは難しい課題かと思いますが、このような見守りサービスの提供などを通じて、安心して取引ができる金融機関として認められ、選ばれるようになれるかがポイントかと思います。