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「JAMPの視線」No.315(2026年1月11日配信)ETFによる製販構造の破壊

JAMP 大原啓一の視点 2026年1月11日 

 改めて今年もどうぞよろしくお願いいたします。年末年始は夫婦それぞれの実家がある神戸と滋賀でのんびりと過ごしてきました。東京にいると現場目線での試行錯誤から離れることがなかなか難しいですが、実家でのんびり過ごしていると俯瞰して色々と考えを巡らせることができていいですね。
 今年は日本資産運用基盤の事業をさらに推進し、証券・資産運用業界により貢献できるように全力を尽くすことはいうまでもありませんが、プライベートでも1年間を通して実現したいことの目標を立ててみました(クラリネットはやはり習い始めることにしました)。仕事に全力で打ち込めるよう、プライベートも充実させる2026年にしたいと思います。

(プライベートにおける2026年の目標)
①帰省以外に2回は家族旅行をする
②小学校6年生になる長男の中学校受験準備にしっかり伴走する
③地元の子ども野球チームの総務担当の役割を果たす(剣道教室の会計のお手伝いも)
④FinTech麻雀リーグの年間成績でプラスを維持し、素点・チップ・役満のうち1冠を獲得する
⑤お酒を控え、月に最低1日は休肝日を設ける(人間ドック前の節酒期間除く)
⑥ベンチプレスで120キロを上げられるようになる / 懸垂を連続で30回できるようになる
⑦クラリネットで「君をのせて」を演奏できるようになる 


ETFホワイトレーベルサービスの活用メリット

 さて、先週水曜日にプレスリリースで公表し、日経新聞やニッキン等のメディアでもご紹介いただきましたが、弊社が投信ビジネス支援の一環で提供するETFホワイトレーベルサービスの第1号案件として、日本バリュー・インベスターズ株式会社の国内籍アクティブETF事業参入・運営を総合的にご支援させていただくことになりました。2024年5月の金融商品取引法改正とその施行を受けての2025年5月の東京証券取引所の有価証券上場規程の改正によって日本でも認められるようになったETFホワイトレーベルサービスが、いよいよ本格的に開始することを感慨深く感じます(日本バリュー・インベスターズ株式会社の案件は投資助言ストラクチャーですので、厳密には金融商品取引法改正や有価証券上場規程改正とは直接関係ないのですが)。

 今回の案件で注目いただいているETFホワイトレーベルサービスの最大のメリットは、日本でETF事業に参入したいと考える金融機関が、投資信託委託業のライセンス登録や投資信託・ETFの運用に係るシステムや業務体制の整備等の多大な負荷を担うことなく、その「ファンドマネジメント」の役割を構造的に分離した形で弊社に任せることにより、自らは投資判断や投資運用業務、事業成長のためのプロモーション等の高付加価値業務に集中できることにあります。

 日本の機関投資家・個人投資家からのETFに対する需要は拡大傾向にあるとはいえ、日本のETF市場が欧米のように巨大に成長するかどうかはまだ不透明ななか、専門人員の確保やシステム対応等に巨額の初期投資を行うことはなかなか難しく、事業リスクを軽減する意味でもETFホワイトレーベルサービスの活用のメリットは大きいように感じます。昨年6月頭の東京証券取引所と弊社の連携プレスリリース以降、30社以上の国内外の金融機関からお問い合わせを頂いていますが、今回の日本バリュー・インベスターズ株式会社のご支援案件を皮切りに、今年はかなり多くの案件をご支援させていただけるのではないかと予想しています。


ETFによる「販売ネットワーク構築のショートカット」

 ただ、今回の日本バリュー・インベスターズ株式会社の案件を通じ、特に私が強調させて頂きたいのは、ETFホワイトレーベルサービスのメリットもさることながら、当社プレスリリース内で同社の伊藤社長もコメントされている通り、ETF活用が資産運用会社の販売戦略にもたらす効果です。

 伊藤社長のコメントにある通り、日本バリュー・インベスターズ株式会社が今回の新商品によって主にターゲットとしているのは同社がこれまであまり接点のなかった国内の機関投資家ですが、それ以外の国内の個人投資家や、同社がこれまで主要顧客としてきた海外の機関投資家も、国内籍私募投信ではなく、ETFという選択をすることにより、全てアプローチが可能となります。

 日本籍の投資信託であれ、海外籍の投資信託であれ、国・地域や投資家属性をまたがる顧客にアプローチをしようとすると、それぞれの国・地域での販売登録等の販売規制に服する必要があったり、販売会社に取り扱ってもらうための手続き等が必要となります。例えば、日本で個人投資家に日本籍もしくは外国籍投資信託を提供しようとすると、証券会社等の販売金融機関に取り扱って頂くという手間が発生します。しかし、ETFであれば、このような手間をかける必要なく、いったん東京証券取引所に上場してしまえば、その日から日本全国のみならず、世界中の金融機関を通じ、上場株式と同様に、投資家への提供が可能となります。この「販売ネットワーク構築のショートカット」というのが、実はETFの最大のメリットのひとつと私は考えています。

 プロダクトガバナンス規制の厳格化等によって投資信託を取り扱う販売金融機関の負担が大きくなるなか、販売金融機関が新しい投資信託商品の採用に慎重になる傾向が強まっているように思われ、資産運用会社にとって販売金融機関を開拓することの難易度は高まっています。既に日本市場における活動実績のある日系大手資産運用会社ですらそうですから、新興資産運用会社や日本市場に新たに進出しようとする海外資産運用会社にとっては、参入障壁になるほど高くなっているように感じられます。

 弊社にETFホワイトレーベルサービスのお問い合わせをいただいている海外金融機関の多くは、このような「販売ネットワーク構築のショートカット」を期待するところが大きいように感じています。もちろん省略できるのはあくまで販売ネットワークの構築、つまり販売金融機関の開拓の手間のみであり、実際に投資家に利用してもらうためには、機関投資家や個人の投資家向けの営業・プロモーション活動が欠かせないのは言うまでもありませんが、その前段階の参入障壁をクリアできることのメリットは決して小さくないものと思われます。

 この構造は、ちょうど出版業界における「取次不要の電子書籍流通」にも似た構造的変化だと考えています。従来は出版社・取次・書店という流通網を通じなければ読者に届かなかった書籍が、今ではAmazon等を通じて直接届くようになったように、ETFは資産運用会社と投資家との距離を大きく縮めることができます。

 弊社が以前より繰り返し主張している通り、証券・資産運用業界はいまさにパラダイムシフトの過程にあり、第2フェーズのポートフォリオマネジメントの世界から、第3フェーズのゴールベース型資産運用アドバイスの世界へと移行しつつある状況です。ゴールベース型資産運用アドバイスの世界においては、投資信託等の金融商品をどのように用いて「将来に備える」を実現するのかというアドバイスにこそ付加価値があり、金融商品そのものやその選定・提案等の付加価値は非常に小さくなっていきます。即ち、単に金融商品の売買を取り次ぐだけの販売金融機関の存在意義は大きく低下することは避けられませんし、その開拓に手間をかけることを正当化することも難しくなってくるのは避けられないものと思われます。この文脈に沿う整理においても、ETFの「販売ネットワーク構築のショートカット」というメリットの意味はより一層に大きくなってくると考えます。

 お蔭さまで弊社のゴールベース型資産運用ビジネス支援サービス「GBASs」のご利用も足もと大きく拡大していますが、ETFホワイトレーベルという新たな投信ビジネス支援サービスのユースケースを積極的に推進することを通じても、金融・資産運用業界の効率性や生産性の向上に貢献できるよう努めてまいりたいと思います。


JAMPメンバーの採用情報

 日本資産運用基盤グループでは、事業拡大に伴い一緒に働くメンバーを募集しています。
弊社にご興味のある方、ぜひ働きたいという方はこちらからお申し込みください。
まずはお話だけでも、という方も大歓迎です!

代表の大原とのカジュアル面談でもいいかな、という方ももっとウェルカムです!!

keiichi.ohara@jamplatform.com


News Picks ダイジェスト

代表取締役 大原啓一 のコメント

【金融へ走り出す通信大手 「ドコモFG」今夏始動 「サービスとスピード」各社が強み】

大原のコメント→

 携帯電話キャリア各社がスマートフォン接点の顧客エンゲージメントを強化し、そこでの収益性を高めるために金融事業に注力しようとすることは理解できますし、そこでの選択領域としてスマートフォン接点と親和性の低い証券・資産運用ではなく、決済・融資等を重視し、銀行機能に関心を強めているのも合理性があると考えます。
 ただ、銀行機能を持つことと銀行を所有することは全く別の話であり、本当に自前でグループ内に銀行を所有し、経営責任まで負う必要があるのかというと正直なところ疑問です。
 携帯電話キャリアの存在感をもってすれば、既存の銀行からサービス開発の柔軟性や利用料金等において有利な条件を引き出すような交渉は十分に可能であり、それであれば銀行代理という形でBanking as a Serviceを利用するということが最も効率的・効果的な選択肢ではなかったのではないかと個人的には考えています。

https://newspicks.com/user/121187/?ref=user_121187&sidepeek=news_15794615


主任研究員 長澤 敏夫 のコメント

【地銀、個人預金の伸び悩み続く 25年9月は0.4%増に鈍化】

長澤のコメント→

 「金利ある世界」になり地域金融機関の営業現場に預金獲得の要請が強まり、リテール業務において人的リソースを投資信託等の預り資産ビジネスから預金獲得にシフトしている金融機関があると聞きます。
 しかし、相続による(都市部への預金)流出への対策が喫緊の課題となる中、「預金金利の引き上げ」以外にもさまざまなカードを持っておく必要があると思われ、その一つとして顧客との関係を強化し、金利競争に陥ることなく預金の粘着性を高めるためには、地域金融機関の強みである長年の取引を通じて熟知している顧客のライフプランを踏まえた資産運用に、将来の相続人たる家族を巻き込んだアドバイスができるかが重要になってくると思われます。

https://newspicks.com/user/6551307/?ref=user_6551307&sidepeek=news_15814024


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