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「JAMPの視線」No.325(2026年3月22日配信)指数ビジネスの敗北

JAMP 大原啓一の視点 2026年3月22日 

 先週木曜日に次男の幼稚園の卒園式に出席してきました。ついこないだ幼稚園に入園したように思っていましたので、もう卒園というのが信じられません。今年春から小学校6年生になる長男も同じ幼稚園に通わせて頂いており、長男の入園から次男の卒園までずいぶん長い期間にわたってお世話になりましたので、少し寂しく感じます。ただ、幼稚園の同じクラスの友達やそのご家族とはこれまでのようにときどき集まって遊ぶなど、今後もご縁を大切にしていきたいなと思います(ぎょうざの満洲でのパパママ会の開催も含めて)。

なぜ日本に指数企業が生まれなかったのか

 さて、先週のメールマガジンでは、これからのグローバル金融市場における競争は「市場設計」を巡る思想の競争であり、その中核に指数が位置付けられるべきであるというお話をさせていただきましたが、今回は別の視点で、「なぜ日本ではグローバルに影響力を持つ指数ビジネスが育たなかったのか」という点を考えてみたいと思います。

 世界の金融市場を見ると、指数は非常に強力なビジネスになっています。FTSE Russell、MSCI、S&P Dow Jonesといった指数会社は、単なる金融情報会社ではなく、資本市場の構造そのものを設計するプレーヤーになっています。指数を作ることで投資の基準を定め、そこにETFやデリバティブが生まれ、膨大な運用資産が流れ込む。指数はそのように資本市場のインフラとして機能しているのです。

 一方、日本にもTOPIXや日経平均株価といった代表的な株価指数があります。しかし、それらがグローバルな資産配分の中核指数として機能しているかというと、残念ながらそうとは言い難い状況です。日本株市場は世界でも有数の規模を持ちながら、日本発の指数ビジネスが国際金融市場の中で強い存在感を持っているとは言えません。

日本の指数は「市場の付属物」だった

 私は、日本と海外の決定的な違いは、指数をどう位置づけてきたかにあると考えています。欧米では、指数を設計することで投資資金の流れを作り、市場の流動性を形成し、新しい金融商品の基盤を作る等、指数は市場を設計するための戦略的な装置として扱われてきた一方、日本では、指数は長い間「市場の付属物」として扱われてきたという認識を持っています。

 例えば、日経平均株価指数は日本経済新聞社が算出するメディア指数であり、TOPIXは東京証券取引所が自社の運営する日本株の取引市場の指標として算出するものです。もちろんどちらも重要な指数ではありますが、そこからETFやデリバティブ、データビジネスを含めたグローバルな指数エコシステムを構築するという発想は、それほど強くなかったように思います。つまり、日本では指数は市場の結果を表す指標であり、市場を設計するツールとして扱われてこなかったのです。この認識の差が、その後の指数ビジネスの発展に大きな差を生んだのではないかと感じています。

市場設計という視点

 指数ビジネスは単なる金融情報ビジネスではありません。指数を設計することは、市場そのものを設計することに近い行為です。どの発行体(企業)を指数に組み入れるのか、どのようなルールで指数を構成するのか、どの市場を投資対象として定義するのか等、これらはすべて、資本の流れを規定するルールになります。指数は投資家の行動を変え、市場の構造そのものを変えていく力を持っています。

 欧米の証券取引所は、指数が持つこの力を理解し、指数を中心に市場のエコシステムを設計してきました。指数を作り、そこにETFを乗せ、デリバティブを整備し、データビジネスを拡大していく。指数は金融市場の「OS」として機能しているのです。

 日本の金融市場がこれから国際競争力を高めていくためには、この視点が不可欠だと思います。指数を単なる指標として扱うのではなく、市場を設計するための装置として捉えることが必要となります。先週もお話しましたが、金融市場の競争は、単なる商品競争ではありません。市場そのものをどう設計するのかという競争です。そして、その設計思想を最も端的に表すものの一つが指数なのです。日本の金融・資産運用業界が次のステージへ進むためには、この「指数を通じた市場設計」という発想を持つことが必要なのではないかと思います。


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News Picks ダイジェスト

代表取締役 大原啓一 のコメント

【システム統合、越境再編のドライバーに 群馬銀は第四北越側に合流】

大原のコメント→

 一般には経営統合や県境を越えた再編というと、営業基盤や地理的な補完関係が注目されがちですが、実際には勘定系システムをはじめとする共通基盤の設計こそが、再編の前提条件になりつつあります。

 特に重要なのは、システム共同化が単なるコスト削減策ではなく、地銀の産業構造そのものを変える可能性を持っている点です。基幹系やバックオフィスが共通化されれば、各行は限られた経営資源を店舗事務や内部処理ではなく、地域企業支援や資産運用、法人ソリューションといった高付加価値領域に振り向けやすくなります。言い換えれば、共通システムは地銀の「効率化」のためだけでなく、「何に集中するか」を決める経営インフラでもあります。

 再編は県境を越えるのではなく、まずシステムの境界を越えるところから始まる。地域金融の再編が地理ではなく基盤によって決まる時代に入ったことを示していることを改めて感じます。

https://newspicks.com/user/121187/?ref=user_121187&sidepeek=news_16271011

主任研究員 長澤 敏夫 のコメント

【一部外資系生保、乗合代理店への販売手数料変更へ 一連の不祥事受け】

長澤のコメント→

 保険会社から代理店に支払う販売手数料は、何の役務に対するものかという視点が重要です。商品説明等の販売時の役務に対する対価で、フォローアップは保険会社が行うということであれば、L字型にする必要はないとは思いますが、金融機関代理店では既に行われているように手数料率を顧客に開示することで納得感を持って加入いただくことが顧客本位かと思われます。

 ただし、保険というのは役に立つのが加入してから相応の期間が経ってからというのが多く、その過程ではライフステージの変化に伴う保険の見直し等も発生する可能性もあり、手数料にはそういった契約後の定期的なフォローアップに対する対価も含まれると考えるのが一般的かと思われます。そうであればL字型というのがしっくりしますし、そもそも銀行等の金融機関代理店経由か、街の保険ショップ等の乗合代理店経由かという販売チャネルによって手数料体系が違っていたというのが理解に苦しむところです。

https://newspicks.com/user/6551307/?ref=user_6551307&sidepeek=news_16262318


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