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「JAMPの視線」No.329(2026年4月19日配信)金融経済教育とゴールベース型資産運用サービス

JAMP 大原啓一の視点 2026年4月19日 

 今週末は次男の小学校入学祝いということで、子どもたちが以前から行きたがっていた千葉県の鴨川シーワールドに1泊2日で行ってきました。いつも行く池袋サンシャインシティの水族館や品川の水族館とは異なり、鴨川シーワールドではシャチのパフォーマンスが見られるということで楽しみにしていましたが、期待していた以上の迫力あるパフォーマンスに家族全員でびしょ濡れになりながら大興奮でした(ちなみにシャチのパフォーマンスが見られるのは日本で3か所だけです)。高速バスで東京駅から片道3時間弱と、遠いのが若干の難点ですが、併設するホテルも居心地よく、楽しく過ごすことができました。

共通するゴール - 「将来に備える」という意識の醸成

 さて、少し前になりますが、ありがたいご縁をおつなぎいただき、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の安藤理事長にご挨拶をさせていただく機会がありました。安藤理事長との意見交換の中で印象的だったのは、アプローチは異なるものの、目指しているゴール自体は非常に近いという点です。すなわち、単に株式や為替といった金融知識を教えることではなく、一般の生活者の皆さまが「将来に備える」という意識を持ち、それを具体的な行動に落とし込んでいくことが家計の資産形成・運用においては重要だということです。この点については、双方の認識は完全に一致していたように思います。

 金融の世界では、知識の有無がそのまま行動に結びつくとは限りません。むしろ、多くの場合、知識はあっても行動に移らない、あるいは継続できないというギャップが存在します。従って、本質的な課題は、「知っているかどうか」ではなく、「実際に行動し続けられるかどうか」にあると私は考えています。この観点に立つと、金融経済教育も、ゴールベース型資産運用サービスも、いずれもこのギャップを埋めるための取り組みであり、目指している方向性は同じであると言えるように思います。

アプローチの違い - 教育とサービスの構造差

 一方で、その課題を解決するためのアプローチには明確な違いがあるということも同時に感じました。金融経済教育は、主として「知識の提供」を通じて意識変容と行動を促す取り組みです。その社会的意義は極めて大きく、長期的には金融リテラシーの底上げという形で市場全体にポジティブな影響をもたらします。ただ、構造的に見ると、このアプローチには重要な限界があると私は考えています。それは、受益者である個人から直接的かつ継続的な対価を得ることが難しいという点です。結果として、活動の多くが業界団体や公的機関からの支援に依存する形になりやすく、事業としての持続可能性という観点では制約が存在します。

 これに対して、私たち日本資産運用基盤が取り組んでいるゴールベース型資産運用サービスの普及は、同じく一般の生活者の皆さまの「将来に備える」ことを支援するものでありながら、その課題の解決に向けたアプローチは明確に異なります。すなわち、個人のお客様に対して投資一任運用という形で継続的なサービスを提供し、その対価としてフィーをいただく「事業」モデルとして構築しようとするアプローチなのです。この「事業」モデルは、地域金融機関、投資一任運用会社、そしてその基盤を提供する我々といった複数のプレイヤーが関与し、それぞれが役割に応じた価値を提供し、対価を分配する構造になっています。ここで重要なのは、各ステークホルダーが経済的インセンティブを持っているという点です。このインセンティブがあるからこそ、サービスの改善や顧客への継続的な価値提供が促され、結果としてモデル全体が自律的に回り続ける仕組みになります。

持続可能性という視点での再定義

 このように見ていくと、金融経済教育とゴールベース型資産運用サービスの違いは、「何を目指すか」ではなく、「どのような構造でそれを実現するか」にあります。金融経済教育は、社会的に必要不可欠な取り組みである一方で、その多くが外部からの支援に依存せざるを得ない構造を持っています。これ自体を否定するものではありませんが、その普及と継続性を考えたときに、一定の制約があることも事実です。他方、ゴールベース型資産運用サービスは、「将来に備える」という行為そのものをサービス化し、顧客にとっての価値と事業としての収益性を両立させています。ここでは、顧客の行動変容がそのままビジネスとしての成果にもつながるため、外部の善意に依存することなく、持続的に拡張していくことが可能になります。

 金融の世界において、本当に社会に浸透していく仕組みは、単に正しい理念を掲げるものではなく、その理念が自律的に回り続ける構造を持っているかどうかに依存します。その意味で、金融経済教育の重要性を前提としつつも、それを補完し、より広く社会に実装していくためには、持続可能な事業モデルとしての設計が不可欠なのではないでしょうか。教育とサービス、この二つを対立的に捉えるのではなく、構造としてどう組み合わせていくのか。その設計こそが、これからの資産運用ビジネスにおける重要なテーマになるように改めて感じています。


JAMPメンバーの採用情報

 日本資産運用基盤グループでは、事業拡大に伴い一緒に働くメンバーを募集しています。
弊社にご興味のある方、ぜひ働きたいという方はこちらからお申し込みください。
まずはお話だけでも、という方も大歓迎です!

代表の大原とのカジュアル面談でもいいかな、という方ももっとウェルカムです!!

keiichi.ohara@jamplatform.com


News Picks ダイジェスト

代表取締役 大原啓一 のコメント

【米運用大手インベスコ、日本のETFに参入へ 外資が規制緩和に期待】

大原のコメント→

 今回の動きは「外資の参入」という個別事象ではなく、日本のETF市場がグローバル市場競争において「プロダクト市場」から「インフラ競争」へと移行し始めているシグナルと捉えるべきなように感じます。

 これまで日本のETF市場は、国内運用会社を中心に限定的なプレイヤーで構成されてきましたが、NISAの拡大や規制緩和を背景に、海外大手が本格参入することで競争軸が大きく変わろうとしています。ETFは単なる商品ではなく、指数・流動性・販売チャネル・制度設計が一体となった「資本の導管」であり、どのプレイヤーがこの導管を設計・支配するかが市場構造を規定します。

 その意味で重要なのは、「誰がETFを組成するか」だけではなく、「誰がETFを作れる状態を設計するか」です。海外ではマネジメントカンパニーやホワイトレーベルの仕組みによって、アセットマネージャーが比較的容易にETF市場に参入できる構造が整っていますが、日本ではこのインフラが未整備でした。

 弊社・日本資産運用基盤が推進しているETFホワイトレーベルサービスは、まさにこの参入障壁を下げ、ETF市場へのプレイヤー拡大を可能にする基盤です。個々の運用会社がゼロから制度対応や上場準備を行うのではなく、共通のインフラを活用することで、より多様なETFの供給と市場の厚みが生まれます。

 今後のグローバル市場の競争は、ETFという「商品」の優劣ではなく、ETFを起点とした市場エコシステムをいかに設計できるかに移っていくはずです。外資参入はその第一歩であり、日本においてもインフラレイヤーの整備が進むかどうかが、資産運用立国の実現を左右するのではないでしょうか。

https://newspicks.com/user/121187/?ref=user_121187&sidepeek=news_16453886


【滋賀銀行・池田泉州HDが資本業務提携へ 激戦の近畿で競争力確保】

大原のコメント→

 個人的に私は生まれが大阪で初めて開設した銀行口座が池田銀行であったこと、妻が滋賀県出身で、彼女の実家の家業のメインバンクが滋賀銀行であったこともあり、自分たち夫婦のご縁と重ね合わせて、少しエモい気持ちになっています。

 ちなみに私たち夫婦の結婚式は、両家それぞれに配慮をする形で、大阪と滋賀の間の京都で開催しましたが、今回の近畿圏の地銀提携の動きのなか、間に挟まれた京都銀行はどのような動きに出るのでしょうか。

https://newspicks.com/user/121187/?id=121187&ref=user_121187&sidepeek=news_16460259


主任研究員 長澤 敏夫 のコメント

【沖縄銀、若手を〝1億円プレーヤー〟へ スペシャリスト研修実施】

長澤のコメント→

 金利ある世界となる中、個人預金が減少している銀行が増加していることもあり、預金獲得を優先し、資産運用ビジネスへの対面営業のリソース配分を見直す動きが出ているとも聞きます。インフレが進み、一般生活者においても資産運用の重要性が高まっている中、金融機関は自らの都合で資産運用の提案を行わないというのは真の顧客本位とは言い難いと思われます。

 もちろん販売額だけを意識した商品売りの発想は変える必要はあろうかと思いますが、こうした研修を通じて身に付けた資産運用アドバイスによる顧客からの信頼度の向上なくして預金の増加も期待できないのではないかと思われます。

https://newspicks.com/user/6551307/?ref=user_6551307&sidepeek=news_16467220


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